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vol.344 ベトナム語の文字は漢字の「ルビ」と考えよ

最近、というかずっと思っていることですが、日本人ベトナム語学習者の発音への認識はすこぶる甘いです。

文字を見て適当に「こんな感じの発音だろう」という“なんとなく”でベトナム語を読んじゃっている人がかなりいます。

ベトナム語の子音や母音の読み方は英語などのそれとは大きく異なります。だからベトナム語のアルファベットを英語の感覚で読んでもほぼ必ず間違った発音になります。

タイ語みたいに見ただけではさっぱり読めないような文字ならいざしらず、ベトナム語はかりにもアルファベットで書かれてしまっているので、文字に対する認識のハードルが低くなります。

だから仮に間違った読み方でもなんとなくな感じで読めてしまうのです。

しかし残念ながらあなたの「こんな感じだろう発音」はベトナム人には通じません。

今回はいまいちどベトナム語の発音の重要性をみなさんに再認識してもらうため、日本語の漢字の「ルビ」を例にとって説明したいと思います。

ベトナム語の文字は漢字の「ルビ」!?

さっそくですが、次の文を読んでみて下さい。

3月1日は日曜日で祝日、晴れの日でした

これは以前ネット上で話題になった文で、日本人なら誰でも簡単に読めますが、日本語を勉強している外国人にとっては非常に読むのが難しい文です。

なぜかというと「1日ついたち」「にち」「祝じつ」「晴れの」などすべて「日」の漢字の読み方が異なるからです。

このように漢字は音ではなく意味を表す文字なので、漢字を見ただけではその読み方まではわかりません。我々日本人は「この字のこういう場合はこう読む」という知識と経験があるから読めるだけです。

だから漢字をあまり知らない子供や日本語がつたない外国人など、読み方がわからない人のために「こう読んでね」という漢字の「ルビ」が必要になってきます。

そう、この漢字の「ルビ」にあたるものが、「発音記号」、つまり「ベトナム語の文字」だと考えて下さい。

ルビが読めなきゃ発音できないのはあたりまえ

ありがたいことに、ベトナム語にはその「ルビ」にあたる読み方がすべての文字に表れています。

例えばphởという単語を発音するには、子音の[ph-]と母音[ơ]と[問う声調]をどう発音するのか理解していなければなりません。

つまり子音[ph-]、母音[ơ]、声調など、それら一つ一つの発音のパーツがベトナム語の「ルビ」にあたります。

だからphởをアルファベット読み感覚で適当に「フォー」と発音しても通じません。それはphởという単語の「ルビ」を適当に読んでいることと同じです。

これは日本語の「祝日」という字を「いわいひ」なんて読んでも相手には通じないのと同じ理屈です。「祝」は「しゅく」、「日」は「じつ」と読んではじめて相手に通じるのです。

つまりベトナム語を学ぶ外国人には「この文字やこの記号はこう読むんだよ」というベトナム語の文字を「ルビ」としてとらえる認識が必要なのです。

その「ルビ」にあたる一つ一つの文字や記号、それが頭子音、母音、末子音、声調の4つのパーツになります。

この「ルビ(=4つのパーツ)」を身につけることが本来のベトナム語の発音を学ぶということなのです。
決してネイティブの発音をひたすら真似することではありません。

まとめ ~「できない」のではなく「知らない」~

ベトナム語はぱっと見、英語のアルファベットと同じなので、多くの人が「思い込み読み」で発音しています。

しかしそれは日本語の漢字の「ルビ」をガン無視して適当に読むのと同じ行為です。

読み方を知らないから発音が変になる、つまりベトナム語の発音は難しいから「できない」のではなく、ただ文字の読み方を「知らない」だけなのです。

ほとんどの日本人学習者はこの読み方を「知らない」という認識がありません。

発音の学習はその大いなる勘違いに早く気付けるかどうかでずいぶん変わります。

まずは「知ること」からはじめましょう。

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