定期購読マガジン「トマトのベトナム語学習ラボ」はこちら

vol.129 [慣用句] 角を切って若作り

よく見た目の年齢が結構いってるのに格好やしぐさを必要以上に若々しく見せてる人っていますよね。そういう年齢不相応なことをやっている少しイタイ人に対してベトナム人は「cưa sừng làm nghé」と言ったりします。

cưa sừng làm nghéとは

「cưa sừng làm nghé」は一言でいうと「若作りする」という意味です。cưaは「のこぎり」、sừngは「角」、làmは「~のふりをする(làm nhưの省略形)」、nghéは「水牛の子」という意味になり、直訳すると「のこぎりで角を切って水牛の子のふりをする」となります。しかしなぜこれが「若作りする」につながるのでしょうか?

それは水牛という動物を考えてみればわかります。

まずは通常の水牛の写真をご覧ください。

写真を見てもわかるように水牛にはオスメス問わず必ず角が生えています。

ちなみに日本では水牛はあまり一般的ではありませんが、ベトナムでは農作業を手伝う家畜や食用肉としてよく利用されています。ベトナムの田舎に行くと農民が水牛を連れている姿をよく見かけます。ベトナムの農村風景を象徴する動物です。

次に水牛の子供の画像を見てください。

まだ水牛の子には角が生えていませんね。角がないというのは子牛のように幼くて若々しいことを表しています。

つまりcưa sừng làm nghéというのは「年をとった水牛が角をのこぎりで切って若い子牛のふりをする→若作りをする」となるわけです。

この言葉を使うのはあくまで年齢と格好が釣り合ってない不相応な人を嘲笑したり、からかったりする場合に使います。「làm nghé=子牛のふりをする」という単語が、子牛になりたくてもなりきれない、しょせんあなたは角のある成熟した水牛なんだよ、だから年齢に合ったことをしろよ、ということを示唆しています。

みなさんもわざわざ角を切って子牛になろうとせず、角のある水牛らしく年齢に合った格好やしぐさをしましょう。