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vol.67 悪い「慣れ」の現象

ある特定のベトナム人にしかベトナム語を使っていない人に注意してもらいたいことがあります。例えばずっーと同じ先生からベトナム語を習っているとか、ベトナム人の女性と国際結婚して主に妻との会話でしかベトナム語を使わない人などです。

そんな人達に聞きます。あなたが普段その人と使っているベトナム語は、見ず知らずのベトナム人が聞いても理解できますか??他のベトナム人と同じようにコミュニケーションがとれますか?

相手に適応するための「慣れ」

特定の人と一定期間コミュニケーションをとっていると、その人の発音のクセだとか、よく使う表現や考え方とかがよくわかってきます。より関係が深くなってくると、一言二言交わすだけで相手の言いたいことがわかるなどの暗黙の了解みたいなやりとりも可能になってもきます。それは相手に適応するための「慣れ」というものが生じるからです。
もちろんそういう関係を築くのはいいのだけれど、それが外国語でのコミュニケーションの場合、それが汎用性があるのかどうか注視しなければなりません。

例えばベトナム人妻へ話すベトナム語は通じるのに、他のベトナム人には通じないとか、先生の言うベトナム語は理解できるのに、赤の他人が喋るベトナム語になるととたんに聞きとりづらくなったりする場合などです。

その「慣れ」は大丈夫?

これは特定の相手のベトナム語に否応なしに「慣れ」てしまっているからです。相手の耳があなたのベトナム語の発音に慣れてしまって、あなたの発音が悪いまま矯正されずにいることもあります。あなたの語学レベルに合わせて、相手が使う語彙を制限したり、喋るスピードを調整してくれたりして、実際にネイティブが使う自然なベトナム語と大きく離れてしまうことなどもあります。

こういった「慣れ」の恐いところは無意識のうちに行われてしまうことです。限られたベトナム人としかコミュニケーションをとっていない人はこの悪い「慣れ」の現象が生じやすくなります。少しでも思い当たる人は実際にたくさんのベトナム人と話してみて、自分のベトナム語はどんな人にでも通用するものなのか少し客観的に見たほうがいいかもしれません。