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vol.311 [慣用句] 裸の鶏を眺める

ベトナム語のちょっぴり面白いtừ lóngを紹介します。

từ lóngとは「隠語」のことで、特定の仲間内にだけ通じるかくし言葉のことです。主に若者の間で使われることが多いです。

今回は“ngắm gà khỏa thân”という言葉をみてみましょう。

直訳は「裸の鶏を眺める」

ngắm gà khỏa thânをまずそのままの意味通りに訳してみましょう。

ngắmは「眺める、鑑賞する」という意味です。見るという意味のxemよりも「細かいところまでしっかりと見る」というニュアンスを含んでいます。

gàは「鶏、チキン」という意味の超基本単語ですね。

khỏa thânは「裸体、はだか」です。もとはlõa thân(漢越で【裸身】)からきていて、それが誤用されてkhỏa thânになったといわれています。

よって直訳すると「裸の鶏を眺める」となります。

裸の鶏は死の象徴!?

しかし普通に訳しただけではまだ意味がわかりませんね。隠された裏の意味を考えてみましょう。

ここでいう裸の鶏とは、羽をはいでゆでた鶏のことをさします。

確かに裸といえば裸ですね。

そしてそのゆでられた鶏はお葬式や法事などでよくお供え物として出されます。

よって「ゆでた鶏を眺める」ということは「お葬式の祭壇を見る=死ぬ」ということにつながるわけです。

つまりngắm gà khỏa thân=chếtとなります。

A: Mình đua xe máy tốc độ đi!
バイクのスピード勝負しようぜ!

B: Nguy hiểm mà, mày muốn ngắm gà khỏa thân à!?
危ないよ!お前死にたいのか?

A: đùa thôi!
冗談だよ!

ngắm gà khỏa thânは「死」というものを遠回しに少し冗談半分で言う時に使います。

シリアスな意味ではまず用いませんので友達同士の間だけでお使い下さい。

まとめ

・ngắm gà khỏa thân=裸の鶏を眺める→祭壇に供えられたゆでた鶏を眺める→死ぬ