定期購読マガジン「トマトのベトナム語学習ラボ」はこちら

vol.390 「見る」のいろいろ

ベトナム語の「見る」はxem, nhìn, thấy… などいろいろあります。みなさんはそれぞれの意味の違いを理解し、きちんと使い分けられているでしょうか?

今回は様々なベトナム語の「見る」の表現を紹介します。

①nhìn=(視線をある一点に移して)見る、眺める

nhìnは視線をあるところから他の一点の方向へ移して見る行為を表します。視線を自発的に移して見る行為に焦点が置かれ、主に対象物の外形を眺める時に使います。

nhìn xe ôtô mới.
新車を見る。

nhìn lên trời đi.
空を見てごらんよ。

・Tại sao em nhìn anh vậy?
なんで君は僕を見ているの?

②xem (coi) =(内容、中身を)見る

xemは対象物の中身を見て認識する行為を表します。内容があって価値のあるものを見る場合に使います。

また、中南部ではxemではなくcoiがよく使われます。xemとcoiの意味、使い方は同じです

xem phim
映画を見る

xem tivi
テレビを見る

xem kịch
劇を見る

nhìnとxemの違い

nhìnは外形を「見る」、xemは中身を「見る」という違いがあります。

例えばnhìn tiviといったらテレビという外見だけを見ていることになりますが、xem tiviはテレビの形そのものではなく番組等の中身を見ていることになります。

よって「テレビを見る」はnhìnではなくxemを使うのが正しいということになります。

③ngắm=(美しいものを)見る、鑑賞する

ngắmは美しいものを細かく、しっかりと見て心を癒す行為を表します。対象は外形が綺麗なもの、見て心が洗われるものがきます。

ngắm cảnh đẹp.
美しい景色を見る。

ngắm hoa anh đào.
桜の花を眺める、花見をする。

ngắm xinh gái.
美女を眺める。

④trông=[ⅰ](意識的に)見る / [ⅱ]監視する、見張る / [ⅲ]〜に見える

trôngは色々な「見る」の意味を持つ細かい多義語です。

[ⅰ](意識的に)見る

まず[ⅰ]の意味は意識的に視線を移す「見る」で、①のnhìnと同じ用法だと考えて下さい。

trông anh đi.
僕を見てよ。

trông phòng của cô ấy.
彼女の部屋を見る。

[ⅱ]監視する、見張る

次に[ⅱ]は対象物に不足の事態が起こらないように意識を張って見る行為を表します。「監視する、見張る」と訳します。

子どもなどが目的語に置かれる場合は「世話をする、面倒を見る」とも訳せます。
この場合はtrông coi、trông nomとも言います。

・khi em đi ra ngoài, anh trông con ở nhà nhé.
私が外出する時は、あなたは家で子供の面倒を見て下さいね。

trông hành lý một chút nhé.
荷物を少し見ててね。

[ⅲ]〜に見える

そして[ⅲ]は形容詞を目的語に置いて「〜に見える、〜そう」の意味になります。“ có vẻ〜 ”と同じ用法です。trôngとcó vẻを組み合わせたtrông có vẻ〜という表現もあります。こちらも意味は同じです。

trông anh mệt.
あなたは疲れていそうだね。

trông có vẻ ngon nhỉ.
おいしそうに見えるね。

⑤thấy=[ⅰ](能力的に)見える / [ⅱ](感覚的に)目に入る

thấyも大きく2つの「見る」に分かれます。

[ⅰ](能力的に)見える

[ⅰ]は能力的に知覚、認識できるようになる「見える」です。実際に目で見えていないものにも使うことができます。

・mình tìm nhẫn mãi mà chưa thấy.
指輪をずっと探しているけどまだ見つからない。

thấy được khuyết điểm của mình rồi.
自分の欠点が見えました。

・chỉ thấy cây mà không thấy rừng
木を見て森を見ず(ことわざ)

[ⅱ](感覚的に)目に入る

[ⅱ]の意味は感覚的に目に映った「見る」です。対象物が自然と目に入ったり、偶然見かけた時などに使います。

・tối qua anh thấy con chuột trong nhà.
昨夜家でねずみを見かけた。

・tôi thấy cảnh núi rất đẹp qua cửa sổ xe điện.
電車の窓からとても美しい山の景色が見えた。

thấyは「見る」の他にも「思う、わかる」等の意味もあります。知覚系全般に広く使える便利な単語です。

その他のいろいろな「見る」

上の5つの単語の他に細かな単語や用法の「見る」を紹介します。

  • ngó
    →nhìnと同じ意味です。方言単語です。北部では「ちらっと見る」という意味でも使います。
  • nhìn thấy、trông thấy
    →nhìn(trông)とthấyが合わさった単語です。nhìnしたあとにthấyするので意味はthấyと同じだと考えて下さい。
  • nhìn xem
    →nhìnとxemが合わさった単語です。nhìnしたあとにxemするので意味はxemと同じだと考えて下さい。
  • じっと見る、見つめる
    →nhìn ngắmもしくはnhìn chằm chằmと言います。
  • ちらっと見る
    →liếcやliếc nhìnもしくはnhìn thoángと言います。
  • のぞく、のぞき見る
    →nhìn trộmもしくはdòm(nhòm)といいます。
  • 目撃する、目の当たりにする
    →chứng kiến【証見】と言います。

まとめ

  1. nhìn=(視線をある一点に移して)見る、眺める
  2. xem (coi) =(内容、中身を)見る
  3. ngắm=(美しいものを)見る、鑑賞する
  4. trông=[ⅰ](意識的に)見る / [ⅱ]監視する、見張る / [ⅲ]〜に見える
  5. thấy=[ⅰ](能力的に)見える / [ⅱ](感覚的に)目に入る

2件のコメント

こんにちは。
ベトナム語のある単語の意味がはっきりわからず、こちらにたどり着きました。
会話の中で、thầy chùa と使うのは、日本語で言う「ほらほら…」とか言う意味なのでしょうか?
以前職場にいたベトナムの方がよく使っていたので、気になっていたのです。
突然で申し訳ありませんが、もしよろしければ教えて頂けるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください