トマトが通常の観光ではあまり訪れることのないスポットを紹介する[トマトのダークツーリズム案内]コーナーです。
今回はクアンガイ省にあるソンミ村虐殺事件が跡地に行ってきました。
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ソンミ村虐殺事件とは
ソンミ村虐殺事件とは、ベトナム戦争真っ只中の1968年3月16日に米軍がクアンガイ省のソンミ村ミライ集落(thôn Mỹ Lai, làng Sơn Mỹ, tỉnh Quảng Ngãi)で村民504人を虐殺し、村を壊滅させた事件です。
ベトナムではソンミ村虐殺事件とは言わず、「ミライ惨殺事件(vụ thảm sát Mỹ Lai)」と呼ばれています。
ベトナム側の情報によると虐殺された504人のうち、女性が182人(そのうち17人は妊娠していた)、子供が173人(そのうち生後5ヶ月以下が56人)、60歳以上の老人が60人(最高齢は82歳)、中年男性が89人で、犠牲者のほとんどが無抵抗の非戦闘員でした。
そして247戸の家屋を焼き払い、家畜までも殺し、村のほぼすべてを破壊しました。
当初、米軍は「128人のベトナムゲリラを無傷で倒した」という虚偽の戦闘報告をし、虐殺のことを隠していました。
しかし、虐殺の最中に現場近くを通りかかった偵察ヘリコプターからの目撃情報や、事件のことを知った兵士からの告発もあり、翌年の1969年の12月にジャーナリストのシーモア・ハーシュによって真相が報道され、アメリカの反戦運動は更に激化していきました。
そんな米軍史に残る大虐殺事件から今年でちょうど50年が経ち、今年の3月16日に犠牲者の追悼式が跡地で行われました。
参考
- ベトナム戦争中の「ソンミ村虐殺事件」、50周年追悼式
VIETJO [ベトジョー]ニュース
トマトが訪れたのは追悼式よりも少し前ですが、今回はその大虐殺事件の跡地がいったいどうなっているのかをリポートしてみたいと思います。
ソンミ村虐殺事件証跡
その場所はダナンから南に150kmほど行ったクアンガイ省にあります。
ダナンから省都であるクアンガイ市まではバイクで4時間ほど、ダナンから鉄道も通っているので比較的行きやすい地域です。
そして市の中心部からさらに郊外にバイクを走らせます。
走ること30分、ベトナムのよくある田園風景の中に「ソンミ村虐殺事件証跡」があります。
ソンミ村虐殺事件証跡には記念碑と小さな博物館があり、当時の家や防空壕の跡が当時のまま展示されています。
ソンミ村虐殺事件博物館
外の日差しが普段引きこもっているトマトには相当きつかったので、現場を見る前に小さな博物館に入ることにしました。
この博物館にはグロテスクで残虐な展示や写真がたくさんありましたが、ここではそういう画像は公開していません。安心してご覧下さい。
博物館の入口には犠牲になった504名の名前が刻まれた巨大な碑がありました。
印象に残った写真 「自ら足を撃った黒人兵」
写真にあるハーバート・カーターという黒人兵は目の前で行われた同僚の虐殺に耐え切れなくなり、自ら自分の足を撃った、と書いてあります。
実質的な米軍側の被害はこの兵士のケガのみだったと言われています。参加していた兵士が自分で足を撃ってしまうほど狂気に満ちた虐殺だったことが見て取れます。
もっと衝撃的な写真はたくさんありましたが、残虐なものはこのブログに載せられないので限定的な公開になります。もっと見たいと思った方は実際に行って自分の目で確認してください。
虐殺現場跡地
続いて外にある当時の家や防空壕の跡を見て回りました。
証跡内の展示された跡地はソンミ村のごく一部で、そんなに広くないので10分程で見て回れます。もちろん実際のソンミ村はもっと広く、証跡エリアの外に跡地や集団墓地がまだたくさん残されています。
そこでいったん証跡エリアを出て、村の他の跡地を見に行くことにしました。
ティンケー村(旧ソンミ村)
このようにティンケー村(旧ソンミ村)は一見何の変哲もない田舎の村ですが、周辺にはたくさんの集合墓と石碑が建てられており、50年前の惨劇を形として残していました。
記憶を形に残すことの大切さ
今回「ソンミ村虐殺事件証跡」を訪れて当時の記憶をきちんと形に残すことがいかに大事かを痛感しました。
「ソンミ村で504人が米軍に虐殺された」
という文字情報だけでは頭でわかっていてもその実感はわいてきません。
しかし実際に現場を訪れ、当時の家の跡などを見ることで50年前の惨劇を思い起こし、少しでも追体験することができます。
ダークツーリズムは悲惨な現場を物見遊山的に見て回ることではなく、「地域の悲しみを悼み、それを継承する」という本質的な役割があります。
跡地としてきちんと形に残すことで、事件の当事者だけでなく、直接体験していない者も共に当時の記憶を共有し、継承することができます。
「ソンミ村虐殺事件証跡」は事件の跡地としてきちんと整備され、展示も効果的に行われています。戦争の残虐性や異常性、ベトナム戦争の悲しみの記憶を共有したい方はぜひとも訪れてみて下さい。
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