làという単語は非常に不思議です。ベトナム語を勉強する人が最初に習う文法項目で、使用頻度も極めて高い用語であるにも関わらず、その用法や扱い方は実に複雑怪奇であることです。「A là B」で「AはBである」となることは多くの方が知っていると思いますが、それ以外のlàの用法も含めて包括的に解説しているベトナム語の参考書は日本にはまずありません。
làは動詞として扱うこともあれば、接続詞や副詞的な使い方もあり、ある特定の品詞として定めることができません。ベトナム語研究者の中でもlàを繋詞や特殊動詞と読んだりしていて、làの扱い方をめぐって議論がおこっているくらいです。なので本当にlàの本質にせまろうと思ったら論文がひとつかけてしまうぐらい大変なことなのです。
ただここはみなさんに広く、実践的でわかりやすいベトナム語を伝えることを目的としているので言語学的な難しいことはとりあえず置いといて、実際にどんな使われ方をし、どう考えればいいかをできるだけシンプルに解説したいと思います。
làは実に様々な用法を持っていますが、大きく二つの系統に分類できます。等号系のlàと強調系のlàです。今回は等号系のlàの用法を実際に見てみましょう。
等号系のlà
làを(=)イコール記号と同じようなものとしてみる系統です。
①「~は…である」
みなさんも知ってるおなじみの用法。làを挟んで名詞や名詞(句)を結んで、「~は…である」という意味になります。
tôi tên là Tanaka.
私の名前は田中です。
Hà Nội là thủ đô Việt Nam.
ハノイはベトナムの首都だ。
sở thích của tôi là học tiếng Việt ※後ろのhọc tiếng Việtは「ベトナム語を勉強すること」という名詞のカタマリになっています。
私の趣味はベトナム語を勉強することです。
②「~というものは…だ」
これも①の用法と似ていますが話者の主観的要素が含まれている場合に用います。
đời là bể khổ ※bể=「ため池、タンク⇒たくさん溜まっているもの」として意訳しました。
人生は苦しいことの連続だ。
hút thuốc là sự độc ác.
喫煙は害悪だ。
em là của anh.
君は俺のものだ。
③感情、思考系の動詞+là~ 「~と」
感情、思考系の動詞の後にlàを置いて、接続詞として機能します。いわゆる英語のI think thatのthat節と似ています。là以下は節(文)が来れるだけでなく、語句単体でも来れます。
tôi nghĩ là chị ấy đã đi du học Nhật Bản.
私は彼女は日本に留学に行ったと思うよ。
tôi biết là anh học giỏi.
私はあなたが勉強ができることを知っている。
thầy trả lời là không.
先生はNOと返事した。
④「~という」
là以下が直前の名詞を修飾することもできます。これは英語の関係代名詞のthatと似ています。là以下は節(文)でも語句単体でもこれます。
anh có ý kiến là em không nên mua nhà mới.
君は新しい家を買わないほうがよいという意見を僕は持っています。
tôi muốn gặp những người thanh niên là đảng viên.
私は共産党員である青年たちに会いたい。
⑤~(する)と(いつも必ず)…、~たら…
làを挟んで条件⇒結果の関係になる用法もあります。
nghỉ ngơi vài ngày là khỏe lại.
数日休めば元気になるよ。
một cộng một là hai.
1足す1は2。
uống rượu nhiều là buồn ngủ ngay.
酒をたくさん飲んだらすぐに眠くなる。
まとめ
等号系のlàの本質はlàの前後の文や語句を(=)イコール関係で結ぶということです。
なのでみなさんにまずしてほしいことはlàを見たらまずは(=)の記号を思い浮かべることです。そのあとは個々の用法を実際の例を見ながらパターン化して覚えていきましょう。
次回は強調系のlàを解説します。ではまた!
Làに対する違和感が一瞬にして消えました。ありがとうございます。