さて、みなさんの発音チェックです。ủi(アイロンをかける)とủy(漢越語の【委】)をそれぞれ発音してみてください。
どう違うか理解した上で区別して読めましたか?
感覚的に、なんとなくで発音しないように、常にどう異なるのか意識しながら発音する必要があります。
ủiとủyの発音の違い
まず問う声調を除いたuiとuyの違いを見てみましょう。iとyはどちらも日本語の「い」より唇を横に引っ張るようにして発音する「イー」という音です。単体では原則どちらも長母音として扱います。
しかしiもしくはyの手前に母音がくると、「イ」の音の長さを変えて発音しなければなりません。つまりiは短い「イ」(i ngắn)で、yは長い「イ」(y dài)で読まなければならないということです。
短い「イ」とは、[-母音+i]の形の時に、最後の” i “を短い音の「イ」で、その手前の母音を長く発音します。
例えばnaiという単語は”a”を長く、” i “を短く発音するので「ナーイ」のように読みます。ちなみにnaiは「鹿」という意味です。
次に長い「イ」とは、[-母音+y]の形の時に、最後の” y “は長い音の「イ」で、その手前の母音を短く発音します。
例えばnayという単語は”a”を短く、” y “を長く発音するので「ナイー」のように読みます。nayは「今日(※hôm nayの略)」という意味ですね。
この短い「イ」と長い「イ」のルールはuiとuyのように二文字の母音の場合でも成り立ちます。つまりuiはuを長く、iを短く発音するので「ウーイ」となり、uyではuを短く、yを長く発音するので「ウイー」と発音しなければなりません。
問う声調と長い母音を合わせる
ここまでは母音の長さだけの話なので比較的わかりやすいですが、これに問う声調が加わったủiとủyはどう発音すればいいのでしょうか?
問う声調は「あ〜ぁ、嫌だなぁ〜」の時の「あ〜ぁ」のように低い地点からはじまり、ゆるやかに下降して最後に少しだけ上昇する特徴を持つ声調です。
下降→上昇の長さの比率は下降 : 上昇=5:5ではなく8:2くらいの割合で緩やかな下降の音がメインになります。
ポイントはこの長い下降部分を長い母音に合わせて発音することです。つまりủiはuの長い部分で下降し、最後の短いiで少し上昇させます。「ウ⤵イ⤴」のようなイメージです。
一方でủyは長いyのほうで下降→上昇を行います。「ウイ⤵⤴」のようなイメージです。
このように一見簡単そうに見える単語でも、問う声調が加わると少し複雑になります。しかし基本的な発音知識があれば、複雑に見える発音でも所詮は基本の合わせ技にすぎないことがわかります。
ベトナム語の2つ以上並ぶ母音を見かけたら「音の長い・短い部分はどこか?」を常に意識して発音しましょう。
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