前回の対話の続きとしてトマトが田中さんに「ベトナム語を深く理解するための大事なポイント」を教えてくれます。
実際に対話の続きを見てみましょう。
さて、田中さん。前回「私は35歳です」は、ベトナム語で“ tôi 35 tuổi ”ということを習ったね。
うん。自分の年齢を言う時は「S(主語)+数字+tuổi」の形で表して、「~です」にあたるlàは使わないんだったよね!
そうだね。でも「tôi 35 tuổi」っていう文は何か変に思わないかい?
どこが?
単語の品詞は何か考えてみて。
うーんと、tôiは「私」という名詞で、35 tuổiも「35歳」という名詞だね。
正解。だから「tôi 35 tuổi」ていう文は「名詞+名詞」の文なんだよ。名詞だけを並べた文なんて何か変に感じない?
日本語にすると「私、35歳」になるから何か足りない感じはするかなー
その何かが足りないっていう感覚は合ってるよ。ベトナム語みたいに品詞のルールが比較的ゆるい言語でも名詞だけを並べた文なんて基本的には存在しないんだ。もし存在するとしたら必ず何かが省略されていると考えるべきなんだよ。
そうなの?
ある本にはtôi 35 tuổiのtuổiに「~歳です」という動詞の意味も含まれている、と書かれてたりもするけど、tuổiはどう考えても名詞だからちょっと無理がある解釈かな。tôiと35 tuổiの間に何か単語を補うと考えるほうが普通だよ。
で、結局何が省略されてるの?
実はtôiと35 tuổiの間には「được」が省略されているんだ。この場合のđượcは「~を得る」という動詞だよ。「tôi được 35 tuổi=私は35歳という年齢を得ている」がもともとの文なんだよ。これならきちんとした文として成立する。
へー、そうなんだ。
つまり何が言いたいかっていうと、ベトナム語は省略を好む言語で、消えているコトバの存在にいかに気がつくかがポイントだってことさ。特に会話は省略のパラダイスだからね。まだ勉強したての田中さんには早いかもしれないけど、これからベトナム語を勉強する上で「何が省略されているか」を考えることはとても大事なことだから覚えておいてね。
わかった。そのためにも今は基礎をしっかり勉強しなきゃね。ありがとう!トマトさん!
まとめ
・tôi 35 tuổiという文にはđược「~を得る」という動詞が省略されている。
・ベトナム語では省略されているコトバは何かを常に考えよ。