ベトナム語にphàという単語があります。phàは辞書には「フェリー、渡し船」と書いてあります。

しかし、ベトナムのphàは日本人が想像するフェリーや渡し船と少し異なります。
普通日本人が想像するフェリーといったら、

こんなかんじの船を想像するでしょう。
そして渡し船といったら、

森鴎外の高瀬舟にでてきそうなこんな感じの船を想像するかもしれません。
しかし実際のベトナムのphàはこんなかんじの船です。

フェリーや渡し船と聞いてすぐにこのような船を想像できる人はなかなかいないでしょう。
つまりベトナムのphàとは道路上にある川の対岸と対岸を結ぶ公共交通機関のことで、ベトナム南部のメコンデルタ地方や北東部の紅河デルタ地方で主に使われています。これらの地方では川が多くの支流に分かれ、水路が網目のように張り巡らされているため船による移動も盛んです。
近年はメコンデルタ地方でカントー橋やラックミエウ橋などの大型の橋ができたことにより、主要幹線道路上ではphàは使われなくなってきています。
しかし都市部ではない川の外れの地域では、人やバイク、車などを運ぶ重要な交通手段としてまだまだphàは健在です。
↑※QL60(国道60号線)を使ってチャビン省ーソクチャン省間を移動するにはphàを二回利用しなければならない。
トマトも何度かphàに乗ったことがあります。最初は「過積載で沈んじゃうんじゃね!?」と思うくらいバイクと車をぎゅうぎゅうに詰め込んで、乗るのが非常に不安でしたが、ゆったりと渡るphàから見る壮大なメコン川は本当に雄大で、時間が緩やかに流れているようでした。

みなさんもメコンデルタ地方に行った際にはphàを使ってよりディープにメコン川を楽しんでみて下さい。
語彙
phà=フェリー、渡し船
lên phà=フェリーに乗る
xuống phà=フェリーから降りる
bến phà=フェリー発着場
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