ベトナムの中部方言はわかりにくく、ベトナム人同士ですら会話が難しい、とよく言われます。
中部方言はベトナム語とは別の言語である、という人さえいます。
このようになぜ中部方言は難しいと言われるのでしょうか?
今回は語彙に焦点を当て、中部弁の謎に迫ってみましょう。
中部弁は基本語彙が違う!
まずは中部弁の語彙が標準的な言い方と具体的にどのように異なるのか見てみましょう。
中部方言 | 標準的な言い方 | 日本語の意味 |
mô | đâu | どこ |
rứa | vậy thế |
そのよう |
ni | này | この |
răng | sao | なぜ |
tê | kia | あの |
chi | gì | 何 |
nớ | đó đấy |
その |
nỏ | không | ~ない |
tau | mình | 自分 |
mi | bạn | あなた |
上の表を見てもわかるように、中部弁ではđâu, vậy, saoなど文法上重要な単語が大きく異なっているのがわかるかと思います。
南部弁と北部弁でも確かに語彙の違いはありますが、それはほとんどがモノの名詞の違いです(例えばスプーンを北部ではthìaと呼び、南部ではmuỗngと呼ぶかの違いみたいな)。
会話や文法上重要な単語は北部でも南部でもほとんど共通です。
例えばkhông sao đâu(=全然大丈夫だよ)というフレーズは北部弁でも南部弁でもkhông sao đâuで同じです。
しかし中部弁ではkhông sao đâuのことを“nỏ răng mô”と言ったりします。3つとも別の単語を使っており、共通する語彙はありません。
このように中部弁では文法上重要な機能語が全く別の単語に変化するという特徴があります。
基本語彙が異なるということは基本的な会話のフレーズも異なるということです。
(例)
※赤い部分が中部弁独特の単語
- đi mô rứa?(=đi đâu vậy?)
どこ行くの? - cái ni là cái chi rứa?(=cái này là cái gì vậy?)
これは何ですか? - tau thích mi(=mình thích bạn)
私はあなたが好きです。
つまり表にあるような語彙の違いの知識がないと中部の人の初歩的な会話すら理解できないということです。そりゃあベトナム人も難しく感じるわけですね。
まとめ
中部弁は基本語彙が違うから難しい!
これは非常にありがたいです。ベトナム人自体が自分の出身で知ってる分だけQuang Triではこう言う!Hueでは、、、Quang Ngaiでは、、みたいに教えてくれるが、書いて整理されたものを体系的に説明する人は皆無のため、都度メモするしかなく、それ自体、日常での必須度が低いので、なかなかメモも蓄積されず、わないままになってるものが未だに多いのが現状です。