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vol.46 漢越を知ることはベトナム語を知ること

ベトナムは漢字文化圏

意外と知られていませんが、ベトナムは漢字文化圏の国です。漢字文化圏の国は、日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮、ベトナムの6か国です。

ベトナムは東南アジアに属する唯一の漢字文化圏です。

「え!?でも漢字使ってねーじゃん!?」と思うかもしれません。確かに中国系のベトナム人を除く多くの普通のベトナム人は漢字の読み書きは一切できません。

しかしベトナム語には「漢越語(かんえつご)」という形で漢字文化の影響を色濃く残しています。「漢越」とは中国の漢字由来の言葉のことで、この「漢越語」はベトナム語の単語を効率良く勉強する上で絶対に欠かせない分野です。

全ベトナム語で漢越が占める割合は60~70%

日本語の語彙を種類別に分けると、漢語、和語、外来語、混種語の4つに分かれます。その中で漢語が占める割合が最も多く、50%を超えると言われています。つまり日本語の全語彙の約半分を漢語が占めていることになります。

一方ベトナム語は純粋ベトナム語(純越語)、漢越語、外来語の種類に分かれます。その中で全ベトナム語に占める漢越語の割合はなんと60~70%と言われています。

漢越語の占める割合はベトナム語の中で圧倒的に多いのです。

なぜこんなにも漢越語が多いのか

ベトナムは紀元前111年から938年までの約1000年もの間、中国の直接支配を受けていたからです(この期間を北の中国に隷属していたことから北属期という)。そのため中国語が容赦なくベトナムに流入し使われてきました。この北属期には言語のみならず、ベトナムの社会、文化、政治、経済、芸術などのあらゆる分野において中国の影響を受けることになりました。

ベトナム語と中国語は似ている

ベトナム語と中国語は、1個の単語でまとまった意味を持つ「単音節語」であること、全く語形変化をしない「孤立語」であること、「声調言語」であるという多くの共通点を持つため、よりストレートに、かつより深くベトナム語の中に漢越語が入り込めました。

日本語の漢語の浸透具合とは比べものにならないくらいベトナム語の漢越語はあらゆる語彙に広く深くゆきわたっています。

まとめ

漢字の理解なくして日本語は攻略できないのと同じように漢越語の理解なくしてベトナム語は攻略できません。ベトナム語が上手になりたければ漢越を徹底して勉強しましょう。