ベトナム語には介母音(かいぼいん、ベトナム語ではâm đệm)という音があります。
これを聞いて、まずほとんどの人が「介母音って何?」と思うでしょう。そこで今回はベトナム語の介母音についてわかりやすく解説してみたいと思います。
介母音とは
介母音とは通称「わたり音」ともいい、頭子音(単語の最初に来る子音)と、主母音(メインの母音)を仲介する母音のことをいいます。要するに橋渡し役の母音だということです
ベトナム語の介母音は「o」と「u」で表記されます。
後ろに主母音のa, ă, eがくる場合は介母音「o」とくっつき、後ろに主母音のi(y), ê, ơ, âがくる場合は介母音「u」とくっつきます。
以下に介母音の全パターンを書いておきます。
介母音 全パターン
※赤字部分が介母音
-oa
例. hoa, thoa, đoán
-oă
例. xoăn, thoắt, loằng
-oe
例. khỏe, tóe, chòe
-uy ※1
例. nguyễn, xuyên, luyện
-uê
例. thuê, quê, xuể
-uơ
例. quơ, thuở
-uâ
例. xuân, quẩy, luật
※1 介母音のuとiの音の組み合わせの時は-uiではなく必ず-uyと書かなければなりません。
例. ☓ nguiên ○nguyên
q-は必ずuとくっつく!
また、頭子音のq-がくる場合は後ろにつく母音が何であろうとqu-と表記しなければなりません。
※赤字部分が介母音
qua
例. quá, quang, quản
quă-
例. quăn, quặc, quăng
que
例. que, quen, quẹo
quê
例. quê, quên, quết
quơ
例. quơ, quờ, quở
quâ-
例. quân, quấy, quật
qui(y) ※2
例. quí(ý), quỳnh, quyền
※2 「qu+最後がiの音」の時はquiと書いてもquyと書いてもかまいません。
例. 「貴重な」という意味のベトナム語はquíでもquýでも可。しかし漢越語ではyのほうがよく使われます。
介母音で覚えておきたいこと
ここまでの説明を聞いて、「で、要するに何を覚えればいいの?」と思うかもしれません。
みなさんが介母音でおさえておきたいポイントは「介母音は弱く、短めに発音し、後ろにくるメインの母音を強く長く発音する」ということだけです。
例えばhoaという単語はoが介母音なので、「ホアー」と、oを短めに弱く、aをやや長めに発音しなければなりません。
介母音の役割は音と音を「仲介する」ことなので、介母音それ自体が強く発音されることはありません。だからその後ろにくる主母音を強く長く発音して下さい。覚えることはただこれだけです。
だから上の介母音の全パターンを躍起になって覚える必要はありません。
実際にある単語をたくさん発音し、数をこなしていけば介母音の発音は自然と身に付きます。
介母音の表記上のルールも特に覚える必要はありません。単語をたくさん覚えていけば勝手にベトナム語の正しいスペルが頭に入っていくからです。
とにかくまずは一つ一つの単語を正しい発音とスペルで覚えることに注力しましょう。
まとめ
・介母音は弱く短めに発音すること
・q-がくる場合は後ろにつく母音が何であろうとqu-と表記する。
・介母音は多くの発音経験の蓄積から自然と身につく。
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