ベトナム語のスペルのつづり方(=cách đánh vần)を紹介します。
cách đánh vầnとは
これはベトナム人がベトナム語のスペルを口頭で言う場合に使われる方法です。cáchは「方法」、đánh vầnは「スペルを書く」という意味です。
例えばベトナム人と会話していて、知らない単語が出てきたときに、「その単語のスペルはどう書くの?」とあなたが聞いたとします。
その場にペンとメモがあればベトナム人にスペルを書いてもらうことができますが、手元に何もない時は口頭でスペルを伝えるしかありません。
その時にベトナム人はこのcách đánh vầnという方法を用います。
cách đánh vầnはベトナム人が小学校1年生からベトナム語の正しいスペルを覚えるために先生から色々な単語のパターンを何十回、何百回と暗唱させられます。日本でいうところの九九みたいなものです。
cách đánh vầnは慣れるまで難しいですが、ベトナム語の正しいスペルを口で覚える際に有効です。知っておいて損はありません。
先に覚えておきたいこと
まずcách đánh vầnの前提知識としてベトナム語のアルファベットの単独の読み方を知っていなければなりません。
これは前回のvol.335 ベトナム語のアルファベットの読み方を参考にして覚えて下さい。
また、6つの声調のベトナム語での名称も覚えてなければなりません。
以下の表にまとめたのでこれも基礎知識として頭に入れておいて下さい。
声調記号 | ベトナム語 | 日本語 |
なし | thanh ngang | 平らな声調 |
` | thanh huyền | 懸かる声調 |
´ | thanh sắc | 鋭い声調 |
̉ | thanh hỏi | 問う声調 |
˜ | thanh ngã | 倒れる声調 |
̣ | thanh nặng | 重い声調 |
cách đánh vần 2文字の単語の場合
cách đánh vầnはベトナム語が2文字の単語の場合と3文字以上の場合とで言い方が少し異なります。
今回は比較的簡単な2文字の単語の場合のcách đánh vầnを紹介します。
ここでいう2文字は厳密にいうと2音韻(おんいん)です。例えばchaは見た目のアルファベットは3文字ですが、音はchとaに分かれるので2つの音韻でできていることになります。
ここではわかりやすく、2音韻の単語を2文字の単語、3音韻以上の単語を3文字以上と表記しています。
やり方
- 頭の音を読む
- 後ろの音を読む
- ※①と②を合わせた音を読む
- 声調を読む
- 単語全体を読む
※もとの単語が平らな声調の場合は④、⑤は省略される。
これだけだとまだわかりづらいので、実際の例を使って説明しましょう。
例えば「từ」という単語のスペルを言いたいとします。
- まずtừの最初の子音「t」を読みます。ベトナム語のアルファベットの「t」は「tờ」と言いますね。
- 次に後ろの母音部分のưを読みます。
- そしてtとưを合わせた「tư」を言います。この段階では声調記号をつけた読み方はせず、全て平らな声調で言います。
- かかる声調であるhuyềnを言います。
- 子音、母音、声調をそれぞれ言ったので、最後に全体で「từ」を読みます。
以上の流れをまとめると、từというスペルの言い方は
①tờ→②ư→③tư→④huyền→⑤từ
となります。
音声↓
他の単語例
cách đánh vầnに慣れるために他の単語の例も見てみましょう。音声も付けておきました。
cá
①cờ→②a→③ca→④sắc→⑤cá
mẹ
①mờ→②e→③me→④nặng→⑤mẹ
mỡ
①mờ→②ơ→③mơ→④ngã→⑤mỡ
về
①vờ→②ê→③vê→④huyền→⑤về
em
①e→②mờ→③em
※もとの単語が平らな声調なので③の段階で終了します。
chủ
①chờ→②u→③chu→④hỏi→⑤chủ
nghe
①※ngờ→②e→③nghe
※後ろにi/e/êの母音がくるときは[ng-]ではなく[ngh-]と必ずつながります。
なのでngとeの場合は間にhがつきますが、ngとờの場合はそのままつながります。
[ng-]と[ngh-]の発音は同じです。
いかがでしょうか、最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、何回も復唱すれば自然と身につくようになりますよ。
まとめ
スペルのつづり方(cách đánh vần) 2文字の単語の場合
- 頭の音を読む
- 後ろの音を読む
- ※①と②を合わせた音を読む
- 声調を読む
- 単語全体を読む
※もとの単語が平らな声調の場合は④、⑤の過程は省略される。
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