定期購読マガジン「トマトのベトナム語学習ラボ」はこちら

vol.158 「思う」のいろいろ

日本語の「思う」という単語はベトナムでは3つの単語に分かれます。どの単語がどのように異なるのか理解してベトナム語の「思う」という表現をしっかり使いこなしましょう。

「思う」のいろいろ

①nghĩ

nghĩは道理や論理に基づいて考えるという意味の「思う」です。つまり頭でしっかり考え、自分の判断や意見を言う時に使う「思う」です。

・tôi nghĩ Việt Nam vẫn còn nhiều vấn đề xã hội.
私はベトナムにはまだ多くの社会問題があると思います。

・anh nghĩ như thế nào về quan hệ Việt Nam và Nhật Bản?
あなたは日越関係についてどう思いますか?

ちなみにnghĩの漢越は【擬】です。この漢字のもとは「推し量る」という意味なので、nghĩは「考える」や「推測する」と訳すこともできます。

②thấy

thấyは自分で見たことや聞いたことなど、その場での自分の感覚にそくした「思う」です。①のnghĩとは対照的にthấyは自分の「知覚」を基準にして判断する「思う」です。「感じる」と訳してもいいでしょう。

・tôi thấy khách sạn này dơ lắm.
僕はこのホテルはとても汚いと思うよ。

・anh thấy cô ấy rất đẹp.
彼女はとてもきれいだと思う。

二番目の例文でもし「anh nghĩ cô ấy rất đẹp」と言ったら、「(彼女の外見ではなく内面のことを)美しいと思う」というニュアンスになります。人の内面は知覚からは判断できず、自分の頭で考えて推測する必要があるからです。

③tưởng

tưởngは事実とは異なることを「思っていた」という意味で、「勘違いする」「思い込む」とも訳せます。通常tưởng以下は事実とは逆のことが述べられます。

・anh tưởng chị ấy là người Nhật.
彼女は日本人だと思ってた(実際は日本人ではない)。

・em tưởng anh đã về nhà rồi.
あなたはもう家に帰ってたと思った(実際はまだ家に帰ってない)。

tưởngは漢越で【想】です。妄想、空想といった言葉があるように【想】には「(事実とは違うことを)思いめぐらす」といった意味があります。なので「tưởng=思い込む」となります。

まとめ

  • nghĩは理性基準の「思う」
  • thấyは知覚基準の「思う」
  • tưởngは事実とは異なることを「思い込む」