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vol.146 「借りる」「貸す」のいろいろ

上の張り紙に「cho vay」とあります。これはどういう意味なのでしょうか。

「借りる」がいっぱい

vayは「借りる」という意味です。
実はベトナム語には「借りる」という単語がたくさんあります。特にお金を借りる場合に、有利子か無利子か、借金するか否かで単語を使い分けたりします。

☆「借りる」のいろいろ☆

・mượn=(借りたものそのものを返す前提で)借りる、(無利子で)お金を借りる
・thuê=(料金を支払って)借りる
・vay=(借りたものではなく、同量もしくは同価値のものを返す前提で)借りる、(有利子で)お金を借りる
・mướn※=thuêの方言バージョン ※mượnと声調が異なるだけなので発音に注意
・nợ=(借金する形で)金を借りる

mượnはペンや本などのこまごまとした物を借りる時によく使います。thuêは家やバイク、車などその人の資産となるものをお金を払って「借りる」という意味です。vayやnợは基本的に借りるものがお金の時に使います。

「貸す」は「借りさせる」!?

しかし一方でベトナム語には「貸す」という単語を一語で表すことができません。「cho+V=Vさせる」という使役形と上の「借りる」という単語を使って、「借りさせる」という2語で表現します。

☆「貸す」のいろいろ☆

・cho mượn=(無償でお金や物を)貸す
・cho thuê=賃貸しする
・cho vay=(金利や借料をとって)貸す

南北で異なる張り紙表現

以上のことから、張り紙のcho vayは「(有利子で)お金貸します」という意味になります。下のtrả gópは「分割払い、ローン払いする」です。つまり消費者金融系の張り紙ということです。

だいぶ前に「A lô là có tiền」という同じく消費者金融の張り紙について解説しましたが、それと表現が違うだけで内容は同じです。

ちなみにA lô là có tiềnの張り紙はハノイで撮ったもので、今回のcho vayの張り紙はホーチミンで撮ったものです。こういった消費者金融の表現にも南北差が表れているのは面白いですね。個人的にはハノイの張り紙のほうがキャッチーな表現で消費者の心をつかみやすいような気がします。

まとめ

・ベトナム語で「貸す」は「借りさせる」と表現する。そのためには「借りる」という単語の違いを覚えることと、使役形の基本をおさえておくことが必要。