定期購読マガジン「トマトのベトナム語学習ラボ」はこちら

vol.398 「学校」に関するベトナム語まとめ

幼児教育から大学教育までの学校施設はベトナム語ではどのように言うのか、そしてその学校形態はどのようなものなのか見ていきましょう。

幼児教育

nhà trẻ / nhà giữ trẻ=保育園

生後まもなくから幼稚園に上がるまでの保育施設はnhà trẻもしくはnhà giữ trẻといいます。ここでのtrẻは「若い」ではなく、「子ども」という意味のtrẻ conやtrẻ emの略からきています。

trường mẫu giáo / trường mầm non=幼稚園

3歳から6歳までの小学校入学前の教育施設はtrường mẫu giáoもしくはtrường mầm nonといいます。trườngは「学校」、mẫu giáoは「幼児教育」という意味です。mẫu giáoは漢越語で【母教】と書きます。mầm nonは「新芽、若芽」という意味です。

幼稚園ではlớp mầm(芽吹き組)、lớp chồi(新芽組)、lớp lá(葉っぱ組)の順番で1年ごとにクラスが上がっていきます。日本の幼稚園の年少組、年中組、年長組と同じですね。

また、保育園や幼稚園のような就学前教育は日本と同様に、任意でかつ有料となっています。

普通教育

trường tiểu học / trường cấp 1=小学校

ベトナムの小学校はtrường tiểu họcといいます。tiểu họcは漢越語で【小学】と書きます。頭文字をとってtrường THと略して書かれることもあります。

また、小学校は別の言い方でtrường cấp 1とも言います。直訳すると「1段階学校」です。

ベトナムの義務教育は日本と同じく、小学校と中学校の9年間です。ただしベトナムでは小学校が5年間で、中学校が4年間となっています。

都市部を除いた地方の小学校では子どもたちが午前組と午後組の2つに分かれ、同一教室を2回使用するという2部制が採用されています。この2部制のことをベトナム語ではbán trú【半駐】と言います。

trường trung học cơ sở / trường cấp 2=中学校

中学校はtrường trung học cơ sởと言います。trung học cơ sởは漢越語で【中学基礎】と書きます。頭文字をとってTHCSと略して書かれることもあります。

中学校は別名trường cấp 2とも言います。trường trung học cơ sởだと長いし言いづらいので、会話などではtrường cấp 2のほうがよく使われます。

さきほどベトナムの義務教育は小学校と中学校と言いましたが、一部の地方では中学校の不足や家庭の事情により、実質的に義務教育が小学校までとなっている地域もあります。

中学校就学率は2017年時点で90.4%で、全国での義務教育の完全化が進んでいないことがわかります。

北部の学校では、冬の気温が低い日に学校が閉鎖されることもあります。具体的には気温10度以下で小学校が休校、7度以下で中学校が休校となります。

ベトナムで10度以下になるのは北部でも相当珍しいのですが、最近ではハノイでも小学校が休校になっています。
https://www.viet-jo.com/m/news/social/180130180059.html

trường trung học phổ thông / trường cấp 3=高校

高校はtrường trung học phổ thôngといいます。trung học phổ thôngは漢越語で【中学普通】と書きます。頭文字をとってTHPTと略して書かれることもあります

高校はtrường cấp 3とも言います。中学校の時と同様に、会話などではtrường cấp 3のほうが短くて言いやすいのでよく使われます。

ベトナムでは高校になると就学率はぐっと下がり、全国平均で58.2%(2010年)にまで下がります。北部や中部の山岳地帯では就学率は40%台になり、沿岸地域の都市部などでは60%を超えるなど、地方によって就学率格差がより顕著になります。

北西部などの少数民族が多い地域では、少数民族の子弟限定の全寮制の学校もあります。これをtrường dân tộc nội trúといいます。dân tộc【民族】は「民族」、nội trú【内住】は「全寮制の」と言う意味です。

トマトがソンラ省にいた頃、ソンラ省にあるtrường dân tộc nội trúを訪れたことがあります。そこは高校と学生寮が1つになっている学校で、ムオン族とタイ族の子達がそこに住んで勉強していました。

ソンラ省の郊外にある全寮制の民族高校 参考:https://baomoi.com/truong-pho-thong-dtnt-tinh-son-la-mot-chang-duong-nhin-lai/c/23175223.epi

その学校で一番驚いたのは、中高6年間にかかる学費や寮費、教科書代や食堂の食事代にいたるまですべてが無料であることでした(高校は義務教育ではないため、ベトナムでもそれなりのお金がかかるのが普通です)。

地域によっては少数民族のための政策としてこういった手厚い教育サポートも行われていることにまた別の格差を感じました。

日本人はかなり珍しいらしく、JKたちから日本語でのサインを求められましたwww

普通教育での学年の言い方

日本では”中学2年生”や”高校3年生”というように、小中高で学校単位に学年を区切って言いますが、ベトナムでは小学校から高校まで区切らずに1〜12年生の学年を言います。

例えばlớp 10は「10年生」で、日本では高校1年生のことです。

職業教育

trường trung cấp chuyên nghiệp=専門中級学校 / trường trung cấp nghề=職業中級学校

職業教育施設は主に「trường trung cấp chuyên nghiệp=専門中級学校」と「trường trung cấp nghề=職業中級学校」の2つあります。
中学もしくは高校を卒業したものが進学でき、期間は中学校卒業者が3〜4年間、高校卒業者が1〜2年間学びます。

職業訓練校では、工業、IT、経営、デザイン、観光、調理、美容など、仕事に直結する実践的な教育を行います。日本の専門学校と似ていますね。

職業訓練校に入学試験はなく、中学・高校の成績や短大・大学の入学試験結果などを基に合否が判断されます。

専門中級学校と職業中級学校の違いは管轄している省庁が違います。
専門中級学校は教育訓練省(bộ giáo dục và đào tạo)が管理する施設で、職業中級学校は労働傷病兵社会省(bộ lao động – thương binh và xã hội)が管理しています。育成プログラムなど、学校の中身に大きな差はありません。

大学教育

trường cao đẳng=短大

trường cao đẳngとは3年制の短期大学のことです。cao đẳngは漢越語で【高等】と書きます。

大学や短大に入学するには、センター試験のような全国共通の入学試験を受け、各大学が要求する合格基準点を満たさなければなりません。

一般的に短大は4年制大学の受験に失敗した人が入るという位置づけです。さらに短大にもひっかからなかった人は前述の職業訓練校に入るパターンもあります。

trường đại học=大学

trường đại họcは4年〜6年制の大学のことで、đại họcは漢越語で【大学】と書きます。

短大を含む大学教育機関への進学率は2016年の時点で28%です。ベトナムは学歴社会で、より良い仕事に就くためには大卒の肩書は欠かせないと考える人も多いです。そのため都市部では受験戦争が近年激化しています。

一般に「国公立大学>私立大学>短大>職業訓練校」といった順番で肩書に価値があると考えられています。多くの大学生にとって大事なのは学問ではなく、就職のために必要な大学卒業証書です。大学は就職の過程に過ぎず、親孝行のための手段となりつつあります。

cao học / trường sau đại học=大学院

大学院はcao họcといいます。漢越語では【高学】と書きます。別の言い方ではtrường sau đại họcともいいます。直訳すると「大学の後の学校」です。

大学院では「đào tạo thạc sĩ=修士課程」で1〜2年間学び、修士号を取得した者が次の「đào tạo tiến sĩ=博士課程」に進学でき、2〜3年間学びます。
đào tạoは「育成する」で、thạc sĩは漢越語で【碩士(せきし)】、tiến sĩは【進士】と書きます。

ちなみに大学院は4年制以上の大学からのみ進学可能で、短大から大学院への進学はできません。

まとめ

以上の説明をまとめると下の画像のようになります。

一行が一年となっており、接している部分はそこから進学可能であることを示しています。図を参考に学校に関するベトナム語を覚えておきましょう。

参考サイト

・ベトナムにおける教育産業制度調査 2012年12月 独立行政法人 日本貿易振興機構 ハノイ事務所
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001372/education_vietnam.pdf

・国別分科会資料 ベトナム社会主義共和国(ベトナム) 株式会社三菱総合研究所
https://www.eduport.mext.go.jp/pdf/programs/country-subcommittee/scs1/csc1_vietnam.pdf

・諸外国・地域の学校情報 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/01asia/infoC11600.html

・ベトナム高校教育の普及水準の南北格差−家計教育費支出割合と学校数の南北格差に着目して 大東直樹
http://www.research.kobe-u.ac.jp/gsics-publication/jics/ohigashi_24-1.pdf

・Lý giải vì sao học sinh thường chê trường trung cấp, cao đẳng? Kenh14.vn
http://m.kenh14.vn/ly-giai-vi-sao-hoc-sinh-thuong-che-truong-trung-cap-cao-dang-20161117181136198.chn

3件のコメント

こんにちは!
いつも拝見させていただいています。
詳しく説明されてわかりやすいので
勉強になります。ありがとございます!
Cơ sở の場合の使い方と意味を教えていただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

すみません、名前を消して投稿していただけないでしょうか?
間違えてしまいました。
申し訳ありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください