人称代名詞
vol.33 「あなた」は「わたし」である!? ~キャッチボールの法則~
ベトナム語の人称代名詞の大切なルールの1つに「二人称は同時に一人称にもなり、使い回すことができる」という決まりがあります。同じ人称代名詞を自分と相手で投げ合っているのでトマトはキャッチボールの法則と呼んでいます。
anh⇔emの投げ合い
例えばあるベトナム人があなたに、“Anh khỏe không?”(あなたは元気ですか?)と聞いてきたとしましょう。相手はあなたに対して二人称anhを使っていますね。
そしてあなたは相手が投げた二人称anhを一人称として受け取って、”Anh khỏe.”(私は元気です)のように使うことができます。
逆に今度はあなたが、”em khỏe không?”(あなたは元気ですか?)と相手に二人称emを投げたら、その相手は”em khỏe.”(私は元気です)と答えてくれるでしょう。
この時anhとemは「あなた」と「わたし」という2つの意味を持ち、お互いに使い回していることになります。これがキャッチボールの法則です。
chị⇔emの投げ合い
もうひとつ例をあげましょう。あなたはある年上の女性に” chị tên là gì?”(あなたの名前は何ですか?)と聞いたとします。
そしたら相手の女性はあなたが投げたchịを一人称に「使い回し」て、”chị tên là…”(私の名前は…です)と投げ返してくれるでしょう。
そして今度は逆にその女性があなたに”em tên là gì? “(あなたの名前は何ですか?)と投げ返してきたら、あなたは相手が投げてくれたemを「再利用」して、”em tên là…”(私の名前は…です)と一人称にemを使うことができます。
chịとemの投げ合い、使い回しをしていることになりますね。
まとめ
「二人称は同時に一人称にもなる」というベトナム語の人称代名詞のしくみは頭だけで考えると難しく、これは実際にベトナム人との会話で使い方を慣らしていくしかないでしょう。
とりあえず最初は「相手が使った二人称を自分の一人称に再利用し、使い回すことができる」というキャッチボールの法則があることを覚えておきましょう。
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