なんとなく知っているけどいまいち使い方がわからない語気詞の「đấy / đó」を解説します。
語気詞とは
語気詞(ごきし)とは文末に置いて相手に自分の感情、気分、態度を伝える品詞のことです。文末詞ともいいます。ベトナム語ではtrợ từといいます。
ベトナム語は声調言語なので日本語や英語のように文の抑揚(イントネーション)を変えて気持ちを伝えることができません。そのため話者の感情やニュアンスを伝える言葉を付け加える必要があります。それが語気詞です。
語気詞を入れないと機械的で感情がこもらない伝え方になってしまいます。日常会話で自然に話したかったら語気詞の学習は必須です。
đấy / đóのもとの意味
đấy / đóはもともと「それ、その、そこ」という意味の指示代名詞です。話し手からは遠く、聞き手に近い物・場所・方向を示します。đấyは北部で、đóは南部でよく使われる傾向があります。
đấyは「これ、ここ」という意味のđâyと発音がよく似ているので注意して下さい。
共通の話題・認識の「あれ」もđấy / đóを使う
「あの話はなかったことにしよう」や「あれは本当に素晴らしかったね」などの「あれ、あの」を言う場合もđấy / đóを用います。
日本語の訳にひっぱられてつい「kia」を使ってしまいそうになりますが、会話での共通の話題・認識を指す場合の「あれ、あの」はđấy / đóです。
A : nhân tiện, kỳ du lịch trong công ty cuối năm như thế nào rồi?
そういえば年末の社員旅行はどうなった?
B : kỳ du lịch đó bị hủy rồi.
あの旅行はキャンセルになったよ
語気詞「đấy / đó」
疑問詞疑問文 + đấy / đóで〈強調・親密さ〉 「〜だい?、〜なの?」
さてここからが語気詞の用法です。
まず疑問詞疑問文(ai, đâu, gìなどがついた疑問文)の文末につけると〈強調・親密さ〉を表すことができます。
疑問文の意味を強め、同時に親しみをこめた言い方にすることができます。逆に言うと文末のđấy / đóがないと直接的でやや冷たい言い方になります。
ちなみにこの用法の場合は文末にthế / vậyを置いても同じ意味になります。
・em đi đâu đấy?
どこに行くんだい?
・ai đấy?
誰だい?
・anh đang làm gì đó?
今なにしてるの?
トマトこぼれ話
トマトがまだベトナム語を勉強したての頃、初めて会ったベトナム人に”em tên là gì? “, ” em sống ở đâu? “, ” em làm việc gì?” などと色々聞いてたら、
「なんか警察の尋問みたい〜ww」と笑われたことがあります。
疑問詞疑問文の文末にはđấy / đóやthế / vậyをつけないと気持ちがこもった言い方にならないのだと実体験から学びました。
肯定文 + đấy / đóで〈強調・自信〉 「(本当に)〜なんですよ」「(もちろん)〜ですよ」
通常の肯定文にđấy / đóをつけると文意を強める〈強調〉及び自分の言うことが正しいことを確信を持って伝える〈自信〉を表します。日本語では「(本当に)〜なんですよ」「(もちろん)〜ですよ」といった意味になります。
・anh ấy là người tốt đấy.
彼は良い人なんですよ。
・điện thoại này là của e đó.
この携帯は私のですよ。
・được rồi đấy.
できますとも。
文頭にđấy / đóを置いて〈強調・警告〉 「ほら、ほれ、そら、それ」
語気詞の用法の応用として、đấy / đóを文頭に持ってくると、「ほら、ほれ、そら、それ」という意味で、相手に注意喚起を促したり、注目させたりする〈強調・警告〉を表します。
・Đấy! Đấy! Tại em mà!
ほらほら、あんたのせいじゃないか!
・Đó! Chính xác rồi.
それ!その通りだよ。
なぜđấy / đóが〈強調〉などの意味を持つのか?
đấy / đóはもともと「それ、その、そこ」という意味で、話し手からは遠く、聞き手に近い物・場所を示す指示代名詞だと言いました。
「その本取って」のように自分から遠く、相手に近いものを指すときは自分の主張を通し、相手に注目させる必要があります。
そのようなことから、少し語気を強めるような〈強調〉の用法の語気詞が生まれたのだと考えられます。
まとめ
- 疑問詞疑問文 + đấy / đóで〈強調・親密さ〉 「〜だい?、〜なの?」
- 肯定文 + đấy / đóで〈強調・自信〉 「(本当に)〜なんですよ」「(もちろん)〜ですよ」
- 文頭にđấy / đóを置いて〈強調・警告〉 「ほら、ほれ、そら、それ」
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