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vol.61 ベトナム語化した日本語

前回フランス語由来のベトナム語を紹介しましたが、日本語由来のベトナム語も少ないですがいくつかあります。

sushi, karate, judo, karaokeなどが有名ですが、これは他の国でもよく使われる日本語ですね。

今回はベトナムらしい変化をした日本語由来のベトナム語を紹介したいと思います。

Honda=バイク

ベトナムらしい日本製単語といえばHondaです。Hondaはベトナムではオートバイのことを指します。由来はもちろんあの有名バイクメーカーのホンダからきています。

一般的にはバイクの呼び方はxe máyだけどHondaでも通じます。いわゆるバイクの俗称的なかんじで使います。カワサキ製のバイクであろうがヤマハ製のバイクであろうがHonda=バイクです。

バイク大国ベトナムでは昔からホンダ製のバイクが一番人気です。日本の高い技術に支えられた信頼性や丈夫で長持ちするといったのことが人気の理由ですね。

ホンダ製と聞くと日本で製造してベトナムに輸出しているイメージがありますがそれは昔の話です。現在は「ホンダベトナム」社が現地のベトナムでベトナム人の手によって製造されています。

だからベトナムで走っているバイクは日本ではまず見ることはないし、純日本製のホンダのバイクである「カブ」などもベトナムではほとんど見ることはありません。(時々超年季の入ったカブは見かけるけど)。

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↑は偽物のスーパーカブ。日本だと新品で20万円以上するスーパーカブが偽物だと6万円くらいで買えます。タイや中国で作られているっぽい。

Osin=家政婦

Hondaの他にベトナムでおもしろい変化をした言葉として「Osin」があります。

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「Osin」はベトナム語で「家政婦、お手伝いさん」という意味です。由来はNHK朝の連続テレビ小説として放送されたあの「おしん」です。

「おしん」は1983年の放送開始以来、日本だけでなく世界各国で放映され、異常なまでの人気を博しました。ベトナムでも1994年に放送され、ベトナム全土に「おしん」ブームを巻き起こしました。

ドラマの中でおしんが健気に家事を手伝ったり、苦労するしたりする姿がベトナム人の印象に残ったのでしょうか、それ以降「Osin=家政婦、お手伝いさん」という意味に変化しました。

ちなみに筆者がホーチミンに留学してた時にはosin付きのアパートに住んでいました。家政婦とかメイドさんと聞くと若い独身女性を思い浮かべるかもしれないけど、筆者のいたアパートのosinは40代の普通のおばさんでした。

最初は便器を拭いたぞうきんでそのまま机を拭いたりして、筆者とよく掃除の仕方で言い争いになったりしたけど、家主の愚痴や故郷の家族の話(osinは地方出身者が多い)を聞いているうちにそのosinとだんだん仲良くなっていきました。

なんだかんだ筆者の留学生活を色々と助けてくれてそのosinの人にはとても感謝しています。今でも筆者がホーチミンに行ったときには必ずそのosinに会いにいきます。

AJINOMOTO=挨拶⁉

これはベトナム語というよりベトナム人なら誰でも知ってる日本語みたいな扱いです。もちろんあのうま味調味料の味の素から来ています。ベトナムでもAJINOMOTOは超有名で全国どこでも買うことができます。

日本語を知らないベトナム人が日本人に会った時に高確率でかけられる言葉がこの「AJINOMOTO」です。日本人にはとりあえずこの言葉をかけときゃいいだろ的に「アジノモトー!」と挨拶されることがしばしばあります。特に中高年にこの傾向が多いような気がします。

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↑はある市場で見つけたAJINOMOTOの偽物の紹介展示。左が本物で右が偽物らしいです。ぱっと見では全然わかりません。

まとめ

中国語由来の漢越語やフランス語由来のベトナム語に比べたら日本語由来の言葉は非常に少ないです。今後日本とベトナムの関係がより深くなっていけば新しい日本製のベトナム語も生まれるかもしれないですね。