定期購読マガジン「トマトのベトナム語学習ラボ」はこちら

vol.63 「xin lỗi」だけではない! 謝罪のいろいろ

「xin lỗi(ごめんなさい)」はあまり使わない

ベトナム人は謝らないとよく言われます。謝罪より先に言い訳などの御託を並べられてイラッとした日本人もいることでしょう。トマトも経験上「xin lỗi(ごめんなさい)」をベトナム人の口から直接聞いたことはあまり多くありません。

実は「xin lỗi」は丁寧でやや重みのある謝罪の言葉で、本当に自分に非がある場合にしか使いません。日本語のすいませんの感覚で「xin lỗi」を連発すると、丁寧すぎて逆に不自然になります。

では「xin lỗi」よりも軽い感覚で詫びを入れたい場合はどのような表現を使ったほうがいいのでしょうか。

「ごめんなさい」よりも「わかってくれ」!?

例えば「thông cảm」という表現があります。「thông cảm」は漢越で【通感】で、「同情する、相手の気持ちを理解して許す」のような意味になります。

例えばあなたが駐車場でバイクを停めようとしたら、バイクがいっぱいで停められません。その時係員はあなたに「thông cảm」と言いました。

その時の係員の言いたいことは、「(満車で入れないけど、この辛い気持ちをあなたも)わかってくれよな!」といった意味になります。要するに軽い後ろめたさがあって係員が「すいません」と言っているのとほぼ同じ感覚です。

自分に少し非があり、相手に軽く謝りたい、許しを求めたい場合は「xin lỗi」よりも「thông cảm」を使うとより実践的で生きたベトナム語になります。

「ごめんなさい」じゃなくて「わずらわせます」!?

もうひとつ「(làm) phiền」という言葉を使うと更に表現が広がります。「(làm) phiền」は「面倒をかける、迷惑させる」という意味です。phiềnの漢越は【煩(ハン)】、煩(わずら)わしいの「煩」です。

☆「(làm) phiền」の使用例☆

※ベトナム語は人称代名詞が複雑なので一般化して1人称=1N、2人称=2Nと表記しました。それぞれ場面に応じた人称代名詞を入れて使って下さい。
※()内は意訳です。

・1N phiền 2N một chút được không?
「あなたにちょっと迷惑かけるけどいいですか?(=すいませんがちょっといいですか?)」

・cho 1N làm phiền được không?
「私が面倒かけてもいいですか?(=お手数おかけしてもよろしいですか?)」

・ xin làm phiền 2N
「あなたを煩わせます(=ご迷惑をおかけします)」

「(làm) phiền」は何か頼み事をお願いする時に言う「すみませんが……お願いします。」や、何か困りごとを引き受けてくれた時に言う「すみませんね」といった意味と非常に似ています。

何か軽いお願いごとをする時や、頼みごとをしてくれた時に一言「(làm) phiền」を使った表現を使うと、よりネイティブらしいベトナム語の使い方になります。さっそく使ってみましょう。

まとめ

「xin lỗi」は本当に謝りたいときにだけ使う。軽く詫びを入れたい時は「thông cảm」や「(làm) phiền」を使おう。