ベトナム語で一番最初に習うあいさつの言葉といえば「Xin chào」です。
Xin chàoは日本語の「おはよう、こんにちは、こんばんは」に相当し、時間に関係なく使える万能的なあいさつですが、残念ながらベトナム人はこの言葉をほとんど使いません。
ある程度勉強している人なら「そんなの知ってるよ」と言いそうですが、では逆にベトナム人はどういう時にXin chàoを使うのか知っていますか?
ネイティブがどういうシチュエーションでXin chàoを使うのかがわかれば、Xin chàoの本質が見えてきます。
Xin chàoの特徴
Xin chàoはベトナムでは主に以下の3つの場面で用います。
- 初対面の人(主に外国人)へのあいさつ
- スピーチや発表での、不特定多数の人への最初のあいさつ
- チェーン店での来店したお客様へのあいさつ。日本語の「いらっしゃいませ、ようこそ」に相当
※「店名 +xin chào」の形で使う
例.Family Mart xin chào=ファミリーマートにようこそ
①~③の特徴からわかる、Xin chàoの本質とは「初対面の人への形式的で丁寧なあいさつ」であるということです。つまりXin chàoは個人間での通常のあいさつにはふさわしくないのです。
なぜならxinがそもそも丁寧な他人行儀の言葉であり、かつanh, chị, emなどの二人称がないことにより、相手個人を認識した言い方ではないからです。実用的でも私的なあいさつでもないためネイティブの間ではあまり使わないのです。
みなさんはXin chàoは上の3つの場面以外ではまず使わない、と覚えておきましょう。
通常のあいさつは「chào+二人称」
ベトナム人が実際によく使う挨拶はchào anhやchào chịのように「chào+二人称」の形を必ずとります。
二人称は性別や年齢によって変化するので、二人称を使うことで対象となる相手の情報を示すことができます。
つまり二人称を加えることによって、「私はあなたのことを具体的に認識していますよ」という形になり、相手により親近感を与えることができるというわけです。
ベトナム人にとって「親しき仲には礼儀なし」
Xin chàoの例からわかるように、ベトナム人は「丁寧である=よそよそしい関係である」という認識があります。
逆にいうと「仲が良ければあいさつは不要」だということです。
本当に仲が良い関係であればベトナム人はchào+二人称などのあいさつすら言わなくなります。日本人にとっては「親しき仲にも礼儀あり」ですがベトナム人にとっては「親しき仲には礼儀なし」だということです。
あいさつ系の言葉を覚える時には常にこの前提があるということを覚えておきましょう。
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