時制はあまり重要ではない
ベトナム語は時制を特に意識する必要はない、という原則があります。
英語では動詞の過去形の不規則変化をたくさん覚えなきゃいけなかったりするなど、時制についてかなり気を遣わなければなりませんでした。
しかしベトナム語ではそういった心配はご無用。ベトナム語で過去や未来のことを言うときに特別な工夫や文法的な表示は必要ありません。
じゃあどうやって時制を表すのか、基本的には前後関係などの「文脈」で過去や未来を示します。ベトナム人は暗黙の了解で時制を理解していると言ってもいいかもしれません。
だから「tôi đi Việt Nam.」という文は文脈によっては過去形の「私はベトナムに行った」の意味にもなるし、未来形の「ベトナムに行くでしょう」という意味にもなりえます。
ベトナム語は語形変化をしないというのは以前勉強しましたが、もちろん時制によって動詞などに変化は起こりません。
時を表す言葉があれば十分
また、過去や未来の話をする時は「昨日」「明日」「~年前」「将来」などの時間軸を示す言葉を付けるのが普通です。
・Hôm qua tôi đi Việt Nam.「昨日、私はベトナムに行った」
・Ngày mai tôi đi Việt Nam.「明日、私はベトナムに行くでしょう」
このように時間を明示する言葉が添えられていればいつの時点の話をしているのかが明確にわかります。ベトナム語での時制の表現はこれで十分なのです。
đãやsẽは時制を強調したいときだけ
ベトナム語を勉強している人なら「đã+V(動詞)」で「Vした」、「sẽ+V」で「Vするでしょう」というふうにđãやsẽなどの副詞を添えることで過去や未来などの時制を表すことができることを知っていると思います。
しかし日常会話ではđãやsẽはあまり使いません。これらは特別に時制を強調したいときにだけ使う表現だからです。
特に前述の「昨日」とか「明日」とかの時間を示す名詞があるならなおさらđãやsẽを使う必要はありません。
・Hôm qua tôi đã đi Việt Nam.
※「Hôm qua=昨日」で既に過去の話をすることがわかるのでđãは不要
・Ngày mai tôi sẽ đi Việt Nam.
※「Ngày mai=明日」ですでに未来の話をすることがわかるのでsẽは不要
đãやsẽを使うのは文法的に間違ってはいませんが、すでに当事者同士がいつの時間の話かを理解しているのにđãやsẽを使うと聞き手は非常にくどく感じてしまいます。đãやsẽを使うのは控えましょう。
まとめ
ベトナム語の時制は文脈で理解する。どうしても時制を強調したいときだけđãやsẽを使おう。
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