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vol.264 mời構文の考え方

人に何か勧めたり、招いたりする時には“mời”という単語を使います。

mờiは「招待する、招く」という意味です。知らなかった人はまずこの単語の意味を覚えて下さい。

ちなみに声調が上がってmớiとなると「新しい」という全く別の意味になるのできちんと区別して覚えて下さいね。

mời+人+〜=どうぞ(人が)〜して下さい

意味を覚えたら次にmờiを使った構文を覚えましょう。

基本形は“mời+人+〜”の形で「どうぞ(人が)〜して下さい」となります。

この場合の人とは招かれる人、つまり「あなた」にあたる二人称が入ります。〜の部分は招かれる人の動作(動詞)が入ります。

mời em ngồi
どうぞおすわり下さい。

mời anh vào
どうぞお入り下さい。

mời ông lên xe
どうぞ車に乗って下さい。

mờiという単語の性質上、必然的に「どうぞ〜(して)下さい」という丁寧な意味を含みます。よってこの構文は年下から年上に対してよく使われます。

構造分析

もちろんこの構文をそのまま暗記してもかまいませんが、文の仕組みをより深く理解したい人へ一歩進んだ解説をしましょう。

mời anh ăn cơmという文を分析してみます。

 

やっぱり基本はS+V+O!

まずmời anh ăn cơmには招く側となる主体、つまり主語が省略されています。ここでは便宜的にtôiとしておきます。

この主語tôiのV(述語動詞)はmờiです。

そしてそのmờiにかかるO(目的語)はなんと[anh ăn cơm]全体です

[anh ăn cơm]全体が名詞節(名詞のかたまり)となってOを作っています。

かつその中のanh ăn cơmが小さなs+v+oとなって入れ子構造になっています。

このようにベトナム語はs+v+oという文がかたまりとなって1つの名詞(節)を作ることができます。
訳し方は「[s+v+o]すること」です。

英語だとthatなどの関係詞が必要ですがベトナム語では基本的に不要です。

よって形通りに訳すと「私はあなたがごはんをたべることを招待します」となり、それが転じて「どうぞごはんを食べて下さい」となるわけです。

意訳して「※いただきます」としてもいいでしょう。

※ベトナム語には日本語の「いただきます」にぴったりあてはまる言い方がありません。

しかし「mời+人+〜」構文を応用すると自分が食べ始める時に相手にかける言葉=いただきます、の意味として使うことができます。

この表現は主に北部で使われます。

「mời+人+〜」構文も元はベトナム語の基本形であるS+V+Oの文だったということだったんですね。

まとめ

・mời+人+〜=どうぞ(人が)〜して下さい

・ベトナム語ではs+v+o文がかたまりとなって1つの名詞(節)を作ることができる。

・文の大枠となる構造を理解すると長文読解がしやすくなったり自分で文を組み立てやすくなる。