さて今日も教科書にはのってない実用的なベトナム語を紹介します。
今回は「水に流す」という言葉です。「水に流す」とは過ぎ去ったことに注意を向けないようにする、という意味の慣用的な言い方です。これはベトナム語ではどのように表現するのでしょうか?
「水に流す」は「風に巻き込ませる」!?
水に流すはベトナム語で「để gió cuốn đi」と言います。 直訳すると「風に巻き込ませる」です。では1つずつ見てみましょう。
đểは「〜させる」
まずđểは置く、残す、〜ために、など色々な意味のある多義語ですが、ここでの意味は「〜させる」です。特に「để+S V」で「SにVさせる」という意味になります。
私にやらせて。
次にgióは「風」、cuốnは「(風や水を)巻き込んで運ぶ」です。cuốnは以前ベトナム料理のbánh cuốn(バインクオン)のcuốn=巻く、やcuốn sáchなど本やノートに付く類別詞としてもやりました。色々な用法がありますがコアは漢越の【巻】を頭に入れておけば大丈夫でしょう。
V+điで性質・状態の変化を表す
最後のđiはやや難しい用法です。このđiは「行く」でもなければ命令のđiでもありません。
これは形容詞や動詞のあとにđiをつけて性質や状態の変化を表します。V+điで〈縮小・収縮・衰え〉に向かう様子を表します。
ホアはやせた。
・anh ấy già đi.
彼は老化した
なのでcuốn điのđiは悪いことなどを巻き込んでどこかへ運び、事態が収縮していくイメージを持たせます。このさりげないđiはここでは意外と重要な意味を持っています。
以上のことから「để gió cuốn đi」で「(悪いことなどを)風に巻き込んで運ばさせる→水に流す」となるわけです。ベトナム語では水ではなく風が物事を流してくれるところに違いがありますね。
昨日のことは全部水に流してして下さい。
まとめ
・水に流す=để gió cuốn đi
・để+S V=SにVさせる
・V+đi=〈縮小・収縮・衰え〉に向かう様子を表す
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