以前読者から以下のような質問がありました。
この質問に答える形でnghềとnghiệpの違いを説明します。
まず「仕事」「職業」という単語について整理しておきましょう。công việcは「仕事」という意味で、その人の行っている具体的な業務を指します。
・Công việc của tôi là dạy tiếng Nhật.
私の仕事は日本語を教えることです。
次にnghềは「職業」という意味で、社会的に認められた職の名前として、công việcより仕事内容が広く、包摂した言い方になっているのが特徴です。
・Nghề của tôi là giáo viên.
私の職業は教師です。
このように、nghềには自身の生活のため、社会への貢献のため、社会的な地位を認めてもらうため、といった意味がnghềの中に暗に含まれていますが、この単語自体にプラスのイメージがあるわけではありません。
次にnghiệpも「職業」と訳せますが、この場合は農業、漁業、工業のように生活の中心をささえるしごと、領域という意味です。もちろんnghiệpを「職業」という意味で使うときはマイナスイメージはありません。
そして、nghiệpは単独で使うことはありません。基本的にnghề nghiệp(職業), sự nghiệp(事業)などの熟語の一部として使われます。nghề nghiệpは先ほどのnghềとnghiệpを合わせた熟語です。意味や使い方はnghềと同じです。
また、nghiệpは漢越語で【業】と書きます。日本語にも「業(ごう)」という仏教用語があるように、ベトナム語のnghiệpにも「悪業、カルマ、前世の報い」という意味があります。nghiệpはマイナスのイメージがある、というのはおそらくこの「業(ごう)」の意味と混同しているからではないでしょうか。
Q. nghềとnghiệpはニュアンスが違うというようなことを聞いたことがございます。
nghềはプラスのイメージ(好きでやっている、誇りを持っている)
nghiệpはマイナスのイメージ(嫌々やっている、義務としてやっている)
というような違いがあるそうなのですが、この認識は正しいのでしょうか?