vol.91 南北の「はい」

ベトナム語においてハノイを中心とした北部ベトナムとホーチミンを中心とした南部ベトナムでは発音が大きく異なります。この違いはこれまでに子音の項目でたくさん紹介してきました。

このようなベトナム語の南北に違いがあるのは発音だけでなく、語彙、文法表現など多岐にわたります。
今回は最も会話で使われるであろう、「はい」という返事の南北差をみてみたいと思います。

北部はvâng、南部はdạ

まずベトナム語の「はい」は年上に対して使うのか、年下に対して使うのかで言い方が違います。年上⇒年下に使う「はい」は「」で、これは南北共通です。ừの他にừmやừaやờなんて言い方もあります。
一方で年下⇒年上への「はい」は南北で言い方が分かれます。北が「vâng」で南が「dạ」です。まとめると以下の表のようになります。

年下に対して 年上に対して
北部 vâng
南部 dạ

北部は礼節を重んじ、南部は形式ばらない

加えて、北部では南部でよく使うdạをつけて「dạ vâng」と言ったり、敬意を表すạをつけて「vâng ạ」といった言い方もあります。さらにそれを組み合わせて「dạ vâng ạ」という最上級な丁寧の言い方もあります。北部ではこのように「vâng」に「dạ」や「ạ」を加えることによって敬意の度合いを調整することができます。
ちなみに「dạ vâng」という言い方は南と北の返事がミックスされた言い方です。「dạ」は南を代表する返事で、「vâng」は北部を代表する返事だからです。

一方で南部では年下⇒年上への「はい」は基本的に「dạ」だけしか使いません。簡単でいいですね。南部でvângなんて使っていると「なんか北部の人っぽいね」とか「丁寧すぎ」なんて言われます。
ちなみに筆者は生粋の南部人で日常的にvângを使う人を見たことがありません(親が北部出身だから南部生まれ南部育ちでも北部弁を話すという人はたまにいる)。それぐらい南部でvângは使わないものなのです。

このように「はい」という返事の仕方からでも、北部では礼儀を重んじ、南部はラフで形式ばらないといった傾向があることがわかります。

まとめ

・ベトナム語は相手が年上か年下かで「はい」の言い方が違う。
・年下⇒年上への「はい」は北部ではvâng、南部ではdạ。
・北部ではvângの言い方にバリエーションがある。南部ではdạ一択。

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