vol.189 ベトナム語検定のサイトが色々と変だったのでツッコんでみた

このブログを読んでいる方ならすでに知っていると思いますが、つい最近日本にようやく公式的?なベトナム語検定ができました。

実は今まで日本にはちゃんとしたベトナム語検定はありませんでした(ベトナムのこと全般を聞く“ベトナム”検定というのはあった)。同じ東南アジアのタイ語検定とかインドネシア語検定は昔からあるのにベトナム語検定は2017年になってようやくできました。ベトナム語出遅れすぎ!!そりゃ今までベトナム語も普及しなかったはずだよ。

この試験を機に多くの日本人がベトナム語に関心を持ち、ベトナム語を学ぶ機会が広まっていって欲しいなとトマトも強く思っています。特に日本人はなぜか資格好きな人が多いし、趣味感覚でベトナム語を学ぶ人も増えるのかなと思います。もし本当にベトナム語検定が普及したらトマトも「ベトナム語検定2級対策講座」みたいなのも作ろうかなと今から目論んでいます(笑)。

ただこのベトナム語検定試験の公式サイト(http://www.jtag.or.jp/)を見ると、色々と問題点というかツッコミどころが色々あったので今回はちょっとそこを指摘してみなさんに紹介したいと思います。

ベトナム語検定試験の変なところ

① 口述試験がない!

これが一番の問題です。この試験には1級や2級でも対面口述式の試験、いわゆるスピーキングなどの会話能力を測る試験がありません。試験は語彙・文法問題を含むリーディングとリスニングのみです。

このブログでもすでに何十回も言っているようにベトナム語で一番大事なのはとにかく「発音」です。どんなに語彙や文法を知っていてリーディングができても発音ができなければ文字通りベトナム語は話になりません。しかしこの試験では発音ができなくても、ベトナム人と会話ができない人でも受かってしまう可能性があります。

ベトナム語の口述試験がないのに「実用」と呼ぶのはかなり問題だと思います。

② 各級のレベルの目安が高すぎ!?

サイトには各級の受ける基準や目安がのっています。そこの学習時間の部分を見るとちょっとおやっ!?となります。

例えば、社会の幅広い場面でやや高度なベトナム語を必要とするらしい2級の学習時間の目安は450時間で7500語を覚えるとあります。

この450時間で7500語というのはかなりやばい数です。どれくらいやばいかというと、そこそこボリュームのある『学習者用ベトナム語辞典』の見出し語の数が約8000語です。

つまりこの辞典をほぼ丸々一冊覚えていなきゃいけないレベルです。しかも450時間で。これは1時間に16語のペースでコンスタントに覚えていかなきゃいけないレベルです。

そんなベトナム語使い日本にいるの!?と驚くなかれ、1級はもっとやばい10000語を覚えると書いてあります。

1級はもはや生き字引を超えたベトナム語マスターにしか受ける資格はないと言わんばかりのレベルです。

千野栄一先生の『外国語上達法』には、「大体どの言語でも約3000語知っていれば日常的な会話やテキストに書かれていることの大半は理解でき、4000〜5000語も覚えればその言語については習得できたといえる。」と書かれています。

このサイトの学習の目安がかなりいきすぎているのがわかるかと思います。

③ そのわりに例題が簡単すぎ!

そんなハイレベルなベトナム語を要求するベトナム語検定試験、いったいどんな問題が出ているのかと見てみると今度は逆に簡単すぎて、拍子抜けします。例えば2級の例題です。

この問題は少しでもベトナム語をかじったことあるなら簡単に答えられると思います。

もちろん正解は đó có phải là xe oto của anh không です。

làの疑問文の形とcủaの前置詞がポイントですが、これらはどちらも初歩の初歩レベルです。英語だとI like tennisの疑問文を答えよみたいなその程度のレベルです。とても7500語を覚えているベトナム語使いに要求するレベルではありません。

④ しかも問題そのものが間違ってる!

あと先ほどの例題の会話文そのものに結構な間違いがあります。

まずHoaさんとNamさんの話す順序が逆です。普通は疑問文→肯定文の順です。

そして順序を逆にしても更に間違いがあります。

Nam:Đó có phải là xe oto của anh không?
Hoa:Của anh Sato

普通ベトナムで名前がHoa【花】という人はほとんど女性です。男性はまずいません。よってNamさんがHoaさんにanhの人称代名詞を使うことは非常におかしいです。普通ここはanhではなくchịです。

さらにNamさんが「それはあなたの(ホアさんの)車ですか?」と聞いてHoaさんが「佐藤さんの」と答えています。一つ言葉が足りませんね。「của anh Sato」の前に必ずいいえのKhôngが必要です。なので正しくは「Không, của anh Sato」です。

「có phải là〜không?」というYesかNoかの疑問文で聞いているのでまず言うべきは「phải」か「không」のどちらかです。疑問文と応答文のやりとりの基本中の基本です。この例題にはそのベトナム語の大原則すら守られていません。

こんな短い文でも間違いが3つもあります。この例題を作った人はそもそもちゃんとしたベトナム語の知識があるのか非常に疑問に感じます。

もうちょっと頑張ってほしい

ベトナム語検定もそれを主宰する日本東南アジア言語普及交流協会という団体も最近できたばかりっぽいし、最初は色々と大変だろうとは思うけど、もうちょっと頑張ってほしいですね。特に試験内容に口述試験を入れて、学習者のレベルに合わせた問題を精査して作ってくれることを願うばかりです。

とりあえず6月にある第一回目の試験を受ける人は頑張って下さい。問題がどんなかんじなのかトマトもすごい気になります。ちなみにトマトはしばらくはベトナムにいるつもりなのでこの試験を受けられません。ベトナム会場も作ってほしい…

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7 件のコメント

  • トマトさん、こんにちは。

    ベトナム語教室の方は、順調でしょうか。
    ベトナム語検定、私にも情報が入ってきまして、色々調べてみましたが、まだあまり情報はないですね。サイトのものだけでした。

    最初なので、仕方ないでしょうね。試験的な部分もあるだろうし。しかし、検定ができたことでベトナム語の日本での普及は広がっていくでしょう。また、需要が高まると口述試験っも出てくるのではないかと。

    メール添削の方は、いかがでしょうか。

  • 初めまして。Miと申します。
    トマトさんは女性かと思いましたが男性なんですね。
    あなたのWebサイトのベトナム語はとても勉強になります。

    私は今回のベトナム語検定を受けようといろいろ調べました。質問状を2回メールしました。
    受験案内もGetしました。

    結論から言いますと、初回の検定は見送ろうかと思います。
    私の協会への質問です。

    (ご質問)
    複数の受験可能とありましたが、例えば3級と4級を受験する場合は、具体的にどうなりますか?
    もちろん二つ分の受験料は必要と思いますが。よろしくお願いします。

    (回答)
    6月25日(日)の試験時間は午前が3級・5級・準6級、午後が2級・4級・6級です。
    従って午前午後で隣り合う級の併願、例えば3級と4級の併願は可能です。
    午前の集合時間は9:30、午後は13:30で、試験に要する時間は級によって異なりますが、
    お送りする受験案内に級別の受験料とともに記載がありますのでご確認ください。

    二回目の質問
    お問い合わせをいただき、ありがとうございます。
    以下、回答させていただきます。

    1)問題用紙は持ち帰りできますか?
    ⇒持ち帰りはできません。

    2)ヒヤリングは南部弁ですか、北部弁ですか?
    ⇒標準語のハノイ弁です。

    3)受験案内書の問題例で、筆記問題2級のHoaさんが女性なら
    cua anh khong?と質問するのが変になります。これが2級の問題ですか?
    ⇒この場合、Hoaは男性です。
    これはあくまでも解答例です。2級の問題はかなり難しくなります。

    4)監修は日本語堪能なベトナム人ですか?
    ⇒監修に関しての詳細はお答えすることができません。

    5)試験を受けるにあたり、問題集とかありませんか?
    ⇒今回は初回なので、現在のところは残念ながら問題集はございません。
    試験の過去問題を取り扱った公式問題集や公式テキストは、今後当協会より出版予定です。

    【実用ベトナム語技能検定試験事務局】

    Webサイト 最近更新していませんが、、、。
    http://ttr.a.la9.jp/
    Asia言語研究舗ベトナム語

    FaceBookは https://www.facebook.com/mi.t.mi.9

    • 道上さん

      コメントありがとうございます。
      協会への詳しい質問と回答をのせていただきありがとうございます。とても参考になります。

      確かに道上さんの言うように初回は見送ったほうがいいですね、私はベトナムにいるのでどっちにしろ受けられませんが、とりあえず様子見が一番いいかと思います。

      問題用紙を持ち帰れないことや、参考の問題集がまだないので謎だらけですし、問題例もいまいちだし、初回に受けても価値があるのかかなり微妙な感じがしますね。

      また、道上さんのwebサイトを拝見しました。ベトナムととても長く関わっているのですね。道上さんの知見を参考にこれからもこのブログを書き続けていきたいと思います。

      また何かありましたらコメントやメッセージをよろしくお願いします。

  • 道上です。返信ありがとうございます。
    数年前に(4年前かな?)ネットで「ベトナム語リスニング検定」というのがあって、試してみました。テストを進めていくには数千円のお金を払わなければならいが、
    確か7000円ほど払って有料テストを受けました。すべてリスニングです。
    このWebにはお試しテストがあるので挑戦してみてください。
    ベトナム語4級の無料があります。私は84点でぎりぎり。
    で、進めていくうちに、問題と解答が間違っており管理人にそのことを問い合わせたところ、監修して欲しいとのことで、かなりの部分を直しました。
    管理人はベトナム語がわからずベトナム人任せだったのです。最初は南部弁しかなかったので北部弁も追加してもらいました。半年ほどメールのやり取りとりをしていました。
    ベトナム語4級の無料の5問目か6問目に「Phuc Tap」(複雑)が出てきますが解答が見つかりません。
    お金を払えば、テストを受けた問題はDownLoadできるので(音声と問題文)なかなかいいと思います。
    私は聞き取りは苦手ですが、言いたいことを話すのは大丈夫です。
    このサイトが成功してくれればいいかなと思います。

    HCMにお住まいとのこと、うらやましい限りです。
    ベトナム人とベトナム語には20年かかわってきましたが飽きることはありませんね。
    頑張ってください。

  • はじめまして。

    試験受けてきました。感想としては、相当難しかったです。

    何より笑ってしまったのですが、日本語能力試験(JLPT)をそのままベトナム語にしたような内容でした。私の本職は日本語教師なのでそう感じたのかもしれませんが、試験の後で受験案内を読み直してさらに笑ってしまいました。一部の文章は丸々コピーです。しかも写すときに写し間違いもあったようで、日本語がおかしい個所があります。JLPTのサイトの「旧試験との比較」をご覧になるとよく分かるかなと思います。

    ベトナムらしいなぁとしみじみ思いました。

    今後、過去問題なども出版されるのであれば、また対策も立てやすいかなと思います。

    • 松尾さん

      コメントありがとうございます。

      なるほど、試験は日本人が作っていると思うのですがそんな丸パクリみたいなこともしてるんですね。

      ぜひとも問題を見たいのですがすべてその場で回収してしまってわからないんですよね。

      松尾さんのような意見は貴重です。ありがとうございました。

  • 松尾順子さん、貴重な報告ありがとうございます。
    私は3級と4級を受けようと思っていましたが、様子を見るために見送りました。
    しかし、3級に受かってベトナム人と片言の会話だと恥ずかしいとも考えました。難しいところです。

    ここでも検定試験があります。個人がやっているみたいですけど。
    http://lis-ken.com/lg/viet/vietnam.html

    http://lis-ken.com/lg/viet/ranking/vietnam_pass

    無料がありますので試してください。
    ちなみに難しかったのは何だったのでしょうか。ヒヤリング?
    よろしくお願いします。

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