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vol.419 三重母音の長短 全まとめ

みなさんはrượu, khuỷu, nguyễn…などの単語を正確に発音できますか?一発でベトナム人に通じますか?

vol.417では2文字の母音の長短の全パターンをまとめました。

今回はその応用編として三重母音(3文字連続で続く母音)の音の長短のパターンを考えてみたいと思います。

三重母音は2文字の母音の時よりも感覚的に、適当に発音してしまっている人も多いのでこの機会に3文字の母音のしくみを学びましょう。

※発音初心者は先に上のvol.417の記事を読んで下さい。ある程度母音の長短の感覚がつかめてからこの記事を読むと理解しやすくなります。

三重母音でも大事なのは音の長短パターン

3文字の母音の発音でも「音の長さ」、つまり各母音の音の長短のパターンを意識することが大事になります。

そのパターンをまとめた図が以下になります。

「短・長・短」、「長・短・短」、「短・短・長」の3つのパターンがあります。一見複雑そうに見えますが、これらは二重母音、介母音、半母音などの2文字の母音の発音がベースになっていますのでその長短パターンを知っていればそんなに難しくはありません。

おさらい

二重母音とは

二重母音とは二つの連続する母音が一つの音のかたまりとなっている「二つで一セット」の母音のことです。

ベトナム語の二重母音は[-ia], [-ua], [-ưa], [-iê-], [-ươ-], [-uô-]の6つです。この6つ以外は二重母音とは呼びません。

二重母音の発音は最初の母音をはっきりと長めに発音し、後ろの母音はあいまいに短く発音しなければなりません。

介母音とは

介母音とは通称「わたり音」ともいい、頭子音(単語の最初に来る子音)と、主母音(メインの母音)を仲介する母音のことをいいます。子音と母音の橋渡し役の母音だと思ってください。

ベトナム語の介母音は「o」と「u」で表記されます。介母音は短く発音されます。

半母音とは

半母音とは母音の性質を持つが他の母音と比べて子音的要素の多い音のことです。見た目は母音だけど、子音の要素を持っているから“半(分)”母音だという意味です。

単語の最後にくる[-y], [-i]を長い「イ」、短い「イ」、 [-u], [-o]を長い「ウ」、短い「ウ」と呼びます。

ではそれぞれのグループに属する母音のパターンをこまかく見ていきましょう。

短・長・短グループ

介母音+二重母音

-uya

最初のuは介母音で短くなり、[ya]は二重母音で長・短のパターンなのでyの部分が長くなる「短・長・短」となります。ya部分は「ヤ」ではなく「イーァ」のように発音します。

このパターンでよく使う単語はkhuya(=深夜)しかないのでこの単語限定の発音と考えてもいいでしょう。

-uyê-

こちらも最初のuは介母音で短く、[yê]は二重母音で長・短のパターンなので「短・長・短」となります。

このパターンの単語は非常に多いので一般化して覚えておきましょう。yの部分をやや長く発音するのがポイントです。

介母音+半母音

-oeo

最初のoは介母音で短く、[eo]のoは半母音の短い「ウ」で、その手前の母音のeを長く発音するので「短・長・短」のパターンとなります。

ただしこのパターンの単語は日常生活で出てくることはほとんどないのでぶっちゃけ覚えなくてもかまいません。

-uyu

こちらも最初のuは介母音で短く、[yu]のuは半母音の短い「ウ」で、その手前の母音のyを長く発音するので「短・長・短」のパターンとなります。yuは「ユ」ではなく「イーゥ」のように発音します。

ただしこのパターンの単語も非常に少なく、日常で使う単語はkhuỷu(=ひじ)くらいなのでこの単語限定の発音として覚えてもいいでしょう。

-oai

最初のoは介母音で短く、[ai]のiは半母音の短い「イ」で、その手前の母音のaを長く発音するので「短・長・短」のパターンとなります。

長・短・短グループ

二重母音+u

-iêu

二重母音の[iê]があるので最初の母音のiをやや長めに発音し、後ろの母音のêを短く発音します。最後のuも短く発音するので「長・短・短」のパターンとなります。

※yêuなどは「短・短・長」のパターンです。二重母音のyê-は適用されず([-iê-]は末子音がついてはじめて適用されるため)、半母音[-êu]の「短・長」のパターンのみ適用されます。「イェウー」のような発音になります。

yêu

-ươu

二重母音の[ươ]があるので最初の母音のưをやや長めに発音し、後ろの母音のơを短く発音します。最後のuも短く発音するので「長・短・短」のパターンとなります。

このパターンでよく使う単語にrượu(=酒)があります。日本人が発音で苦労する単語の1つですので一発で通じるようにきちんと練習しましょう。

二重母音+i

-uôi

二重母音の[uô]があるので最初の母音のuをやや長めに発音し、後ろの母音のôを短く発音します。最後のiも短く発音するので「長・短・短」のパターンとなります。

-ươi

二重母音の[ươ]があるので最初の母音のưをやや長めに発音し、後ろの母音のơを短く発音します。最後のiも短く発音するので「長・短・短」のパターンとなります。

短・短・長グループ

介母音+半母音

-oay

最初のoは介母音で短く、[ay]のyは半母音の長い「イ」で、その手前の母音のaを短く発音するので「短・短・長」となります。

ただしこのパターンの単語はほとんどなく、日常会話に出てくることはまれなので覚えなくても差し支えはありません。

-uây

こちらも最初のuは介母音で短く、âyのyは半母音の長い「イ」で、その手前は短母音のâなので「短・短・長」のパターンとなります。

ただしこのパターンの単語もほとんどないので覚えなくても差し支えはありません。

qu-系 + 半母音

他にも子音の[qu-]には半母音のeo / ai / ao / au / ay / âyがつくことができます。以下の2つのパターンに分かれます。子音の[q-]は必ず[u]とくっつき、「クゥ(南部ではウゥ)」という発音しかありません。

「短・長・短」

「短・短・長」

まとめ

-uyê-, -oai, -iêu. -uôi, -ươiのパターンの単語は非常に多いので一般化して覚えておきましょう。

それ以外のパターンは特定の単語で使用は非常に限定的ですので覚えなくてもかまいません。