今回はベトナム語で最も使う語気詞「nhé」について解説したいと思います。
語気詞って何だっけ?という人は前回の記事を参照ください。
語気詞nhéとは
語気詞nhéは文末に置いて話し手からの約束、催促、提案などについて聞き手に同意を求める役割を持ちます。日本語でいうと「ごはんを食べようね」、「ありがとうね」、「手伝いますよ」などの「~ね」や「~よ」にあたります。~nhéは日本語の「~ね」と位置も発音も似ているので日本人には覚えやすいかと思います。
またnhéは北部でよく使い、南部ではnhéではなくnhaに変化します。
ベトナムを訪れた日本人が、ベトナム人はよく「ニャーニャー」言っていた、なんてのを聞いたことがありますがそれはこの語気詞nhaのせいです。
nhéもnhaも役割は同じです。ここでは便宜上nhéに統一して説明します。
nhéの用法
では少しnhéの用法について細かく見てみましょう。nhéは大きく分けて3つの用法に分かれます。
①確認、約束
・tôi đi nhé.
行きますね。
・mai nhé.
(また)明日ね。
・đi về cẩn thận nhé.
気を付けて帰ってね。
②(軽い)命令、催促
・chờ chút nhé.
ちょっと待っててね。
・con học nhé.
(子供に向かって)勉強しなさいね。
・anh hãy đi nhé.
あなたは行きなさいね。
③誘い、提案
・đi uống cà phê nhé.
コーヒーを飲みに行きませんか。
・chúng ta cùng đi chơi nhé.
一緒に遊びに行きませんか。
・anh giúp em nhé.
お手伝いしますよ。
一見同じように見える「nhé」ですがこのように細かく分けることができます。ここでは「約束、催促、提案」について相手に同意を求めるのがnhéなんだと覚えておきましょう。
ただ注意していただきたいのは「nhé=~ね」ではないということです。なので短絡的に「~ねはnhéだ」と考えないで下さい。その理由は次回説明したい思います。
まとめ
・nhéは話し手からの約束、催促、提案について聞き手に同意を求める。
・nhéは北部、nhaは南部でよく使われる。
・nhé=~ねではない。
今回も詳細な説明ありがとうございます。
毎度拝見しております。
さて、今回の語気詞ですが、1つ確認があります。他の参考書でも同じ疑問を感じておったのですが、トマトさんの説明にある③の「誘い・提案」の件です。
訳で「コーヒーを飲みに行きましょうね。」「一緒に遊びに行こうね」という言い方は、「誘い・提案」というよりも、相手に話者が当然と思っていることを軽く押し付けているように聞こえるのです。また、大人同士がこのような言い方をするでしょうか。
あえて使うとしたら、親が幼い子供に「靴履きましょうね」「ご飯食べましょうね」とあやすように言う状況しかないのでは、と私は思う次第です。
誘うとしたら「コーヒー飲みに行きませんか。」や「一緒に遊びに行きませんか。」と言うのが、自然かと。
トマトさんは日本人との会話で、誘うとき「~行きましょうね」「~行こうね」と言われますか。
確かにnhéは自分の誘いや提案を軽く相手に押し付けるかんじがあります。ただその押し付けの中には親しみの意味も入っているので本当に軽いものですが。
また「コーヒーを飲みに行きましょうね。」「一緒に遊びに行こうね。」よりも「コーヒー飲みに行きませんか。」や「一緒に遊びに行きませんか。」のほうが確かに自然で一般的ですね。「~ね」の訳に引っ張られてしまいました。訳を修正しておきます。ご指摘ありがとうございます。
ベトナム人に聞くと、
「確かにあなたのいう説明と、nhéはニュアンスは違うように思う。『~ませんか』の日本語訳が適当かも。・・・nhéは少し押し付けっぽい。でもベトナム人は日本人みたいにそれほど違和感なく聞こえるよ。それに、嫌だったらはっきり断るから。それに対して日本人は、・・・」
と、日本人の”わかりづらさ”を延々と聞かされました。(余りにも早口なので、途中テキトーに相槌しましたが。しかも南部弁、何を言っているやらわかりません。笑)
ベトナム人の方があらゆる局面で、日本人より圧倒的に(ダメ元で)試しに言ってくる(誘い・提案)人が多いので、気をつけてないと、そのペースにハマり、気のすすまないパーティー等に参加するハメになったこと数知れず。まあ行ったら行ったで楽しめば、それはそれでいいのですが。。