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vol.448 「~だからといって…とは限らない」はベトナム語で?

日本語でよく使う「~だからといって…とは限らない」はベトナム語でどう言えばいいのでしょうか?

ただ表現を丸暗記するのではなく、なぜそういう意味になるのか理解してから覚えましょう。

★không phải cứ A thì(là) B=AだからといってBとは限らない

この構文は” không phải ” と ” cứ A thì(là) B ” の部分に分けて考えましょう。

không phải~は「~ではない」という否定の表現です。名詞や名詞のかたまり、文全体などを否定するときに使います。

cứ A thì(là) B

cứ A thì(là) B は「AすればいつもBする、Aならば必ずBする」という意味になります。A及びBには動詞または形容詞がきます。

cứは漢越語で漢字で表すと【拠(キョ)】です。根拠、証拠といった言葉があるように【拠】の漢字には「よりどころ」という意味があります。

thì及びlàは「~ならば…、~すれば…」という意味の〈仮定・条件→結果〉の用法になります。

ではcứを使った例文を見てみましょう。

 ・cứ đến 10 giờ đóng cửa.
10時になると閉店します。

上の例文ではcứ đến 10 giờ「10時がくる根拠を持つ」とđóng cửa「閉店する」となります。だから「10時になると(必ず)閉店する」という訳になるわけです。

cứは他に話し手の「承認・支持」を含む助動詞の用法もよく使うので以下の記事も参考にしてください。



cứ A thì(là) Bをkhông phảiで否定する

そしてそのcứ A thì(là) Bをkhông phảiで否定すると「AすればいつもBする、というわけではない」→「AだからといってBするとは限らない」という意味になります。

例文をみて使い方を確認しましょう。

例文

Không phải cứ có tiền hạnh phúc.
お金があるからといって幸せとは限らない。

Không phải cứ là người việt thì sẽ dạy được tiếng Việt.
ベトナム人だからといってベトナム語を教えられるわけではない。

Không phải cứ là phát ngôn của chính phủ thì luôn luôn chính xác.
政府の発言はいつも必ず正しいわけではない。

一見複雑そうに見える構文でも表現を分解して考えると覚えやすくなり、自分でも使いこなせるようになります。

文の型を丸暗記するのではなく、なぜそういう意味になるのかを常に考えながら学習しましょう。

まとめ

  • không phải cứ A thì / là B=~だからといって…とは限らない
  • ” không phải ” と” cứ A thì / là B=AすればいつもBする、Aならば必ずBする ” に分けて考える
  • 「cứ=拠=よりどころ」という意味をもとにして考えるとcứの本質が見えてくる。