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vol.328 人称代名詞を使った距離感のとり方

geralt / Pixabay

今回は人称代名詞を応用したベトナム人との距離感のとり方を紹介します。

今回のテーマは人称代名詞の基本がわかってないと理解しづらいのでまだベトナム語の人称代名詞があやふやな人は以下の記事を参考にして下さい。

人称代名詞は実はフレキシブルに使える

ベトナム語の人称代名詞は性別、年齢、職業、地位などによって「わたし」と「あなた」の呼び方がコロコロと変わるのはすでに知っているかと思います。

そう聞くと使うルールが厳密に決められているように感じますが、実は人称代名詞は話し手の気持ちしだいで比較的自由に変えることができます。

それを応用して自由に相手と距離をとることもできるのです。

つまり相手と距離を置きたい場合はあまり親しみを感じさせない人称代名詞を使い、相手と距離を近づけたい場合は親しみやすい人称代名詞を使うことができるということです。

今回は親しみを感じさせない、距離を置きたい場合の人称代名詞を見ていきましょう。

相手と距離を置きたい場合は“tôi” “ông” “bà”を使え

相手に深入りせず、疎遠な関係にさせたいときは“tôi” “ông” “bà”を使いましょう。

tôiは「中立」「疎遠」「謙遜」

親しみを感じさせない人称代名詞の筆頭としてあげられるのが“tôi”です。

tôiは一番最初に習う一人称ですが、少しでも勉強したことのある人なら「tôiは普段の会話ではほとんど使わない」ことを知っているでしょう。

それはtôiの本質が「中立」「疎遠」「謙遜」でよそよそしい印象を与えるからです。

しかしその本質を逆手に取って、相手とあまり仲良くしたくない場合や、距離を置きたい場合にわざとtôiを使うこともできるわけです。

・đừng có làm phiền tôi học bài.
私の勉強の邪魔をしないでくれませんか?

tôi không sao đâu. kệ tôi đi.
私は大丈夫です。ほっといてください。

これはもともとanh-emなどで呼び合う親しい間柄であった時にtôiを使うと相手は距離を置かれたと感じるのでより効果的です。

相手とケンカしてる時やあまり絡んでほしくない相手にtôiを使うといいでしょう。

ông-bà ~年齢差は距離感の差~

通常かなり年上の男性や女性に対して使う人称代名詞のôngやbàも相手と距離を置きたい場合に使うことができます。

これは相手と年齢的に差があることを示すことから、尊敬や丁寧さを含むと同時に、他人行儀な感じも同時に表します。

例えば見た目や年齢からして明らかにanhとemの間柄なのに、そこであえてôngやbàを使うと非常によそよそしい感じを与えられます。
これも先ほどのtôiの時と同じように、もともと親しい関係の中でôngやbàを使うと相手に疎外感を感じさせられます。

特に親しい男女がケンカする時などでông-bàはよく使われます。

ベトナム人女性から突然ôngなどと呼ばれないように気をつけましょう(笑)。

ông không hiểu nói gì.
君の言ってることなんかわからん。

không muốn đi chơi với ông đâu.
あんたなんかと遊びに行きたくないわ。

まとめ

・相手と距離を置きたい場合は“tôi” “ông” “bà”の人称代名詞を使え。

・tôiの本質は「中立」「疎遠」「謙遜」。

・年齢に差があることを示す人称代名詞は距離感の差も作れる。