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vol.231 「アオザイ」から学ぶベトナム語

アオザイは既に日本語化したベトナム語の1つです。ベトナムやベトナム語についてほとんど知らない日本人でもアオザイという単語は結構知っていたりします。

広辞苑にもしっかりのっており、アオザイという単語が日本語化しているのがわかります。

ただここでは別にアオザイの特徴だとか素晴らしさについて語る気はありません。このブログを見てくれているベトナム好きのみなさんなら特に説明は不要でしょう。アオザイそのものについて知りたい人は自分でググって下さいな。

ここでは「アオザイ」というベトナム語から何が学べるのか深く分析し、そこから応用できる単語や使い方も紹介したいと思います。

アオザイから学ぶベトナム語

アオザイはベトナム語で書くとáo dàiです。意味はベトナム語を少しでも勉強したことある人なら知っているかと思います。

田中さん
そんなの簡単だよ。áoは「服」でdàiは「長い」でしょ!

田中さんの回答は確かに間違ってはいませんがそれだけではまだ不十分ですし、応用がききません。

アオザイのáoとは?

アオザイのáoとは「上半身に着用する衣服」です。áoは上半身限定です。下半身に身に着ける衣服はquầnと言います。

しかもáoはジャケットやコートなどの外衣、アウターの意味もあります。

「áo=服」と覚えているとズレて解釈してしまう場合もあり、不十分だということがわかるでしょう。

アオザイはMade in China!?

アオザイのáoは実は漢越語です。漢字では【襖】と書きます。音読みでは「オウ」、訓読みでは「ふすま」と読む漢字です。【襖】という漢字にはもともと「上着」という意味があります。áoも音読みの「オウ」と発音が似ていますね。

アオザイはベトナムの代表的な民族衣装ですが言葉の元をたどるとMade in Chinaだったんですね。中国の力強し!

áo関連の名詞

áoは通常後ろに何らかの名詞や動詞が来て一つの単語を形成します。よく使うものを以下に並べたので覚えておきましょう。

・áo lót=下着、肌着 ※lót=敷く、敷物

・áo khoác=上着、アウター、トップス ※khoác=肩にかける、はおる

・áo mưa=カッパ、レインコート ※mưa=雨

・áo len=セーター ※len=羊毛、ウール

・áo choàng=オーバーコート ※choàng=まとう、かぶる

・áo sơ mi=ワイシャツ ※sơ miはフランス語のchemiseから

・áo thun=Tシャツ ※thun=縮む

アオザイのdàiとは?

まずdàiの発音は北部では「ザーイ」となり南部や中部では「ヤーイ」となります。子音の[d-]の発音が地方によって異なるからです。あなたの住んでいる地方が「ザーイ」なのか「ヤーイ」なのか今一度しっかり確認しておきましょう。

dàiは確かに「長い」ですが、これは距離や寸法などの物理的な長さにおける「長い」です。時間的に長い場合はdàiではなくlâuを使います。この2つを組み合わせたlâu dàiという単語もあります。lâu dàiは「長期の」という意味で時間的な長さを表します。

dàiは汎用性の高い単語

dàiは動詞としても使えます。例えば「cầu này dài 100m=この橋は100mです」のdàiは「〜の長さがある」という意味の動詞になります。

また、「kéo=引く」という動詞と合わせてkéo dàiとすると「長引く、延長する」という意味にも使えます。

さらに寸法を表す名詞のchiềuやbềと合わせてchiều dài、bề dàiとすると「長さ」という名詞にもなります。

dàiは「長い」という形容詞の意味だけでなく、他の単語と組み合わせて動詞や名詞に変化させて使うことができる汎用性の高い単語なんですね。

まとめ

「アオザイ=長い服」と覚えているだけでは知識は広がっていきません。本質をしっかり捉え、単語や表現を数珠つなぎのようにして語彙を拡張させていきましょう。