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vol.340 「どいて、どいて!」はベトナム語で?

日本語では口をついて出るけど、ベトナム語では何ていうのかわからない。そんな表現を紹介するシリーズです。

もしあなたが道を歩いていて、目の前を通り抜けたいのに人が邪魔していて通れない…こんなときベトナム語では何て言えばいいのでしょうか?

例えばトマトがよく買い物に行く「ロッテマート ダナン」のエスカレーターではベトナム人が横一列を塞いでしまって通り抜けられない時がしばしばあります。

ベトナムでは日本みたいに人が片側に寄るという文化もないのでこういう状況が結構起こります。

そんなとき日本語では「ちょっとすいません…」とひと声かけて通り抜ければすむのですが、ベトナム語ではどのように言えばいいのでしょうか?

丁寧度に応じていくつかパターンがあるのでまとめて紹介します。

「どいて!」のいろいろ

1番丁寧な言い方は“xin lỗi, cho tôi qua”

1番丁寧な言い方は“xin lỗi, cho tôi qua”です。日本語では「すいません、ちょっと通りますよ」となります。

まず最初のxin lỗiは「ごめんなさい」という意味ではなく、excuse meに近い声かけの「すいません」という意味です。xin lỗiは謝る以外にも使えます。

次にcho tôi quaの“cho”は「〜させる」という使役形の意味で使っています。

「tôi qua=私が通る」を「〜させる」わけですので、「私に通り抜けさせて下さい」となります。

1番オーソドックスで丁寧な言い方なのでひと声かけて通り抜ける際はこのフレーズをお使い下さい。

「どいて!」はnước sôi!

「どいて!」はnước sôiと言います。

しかしこれは少し特殊な表現です。nước sôiは直訳すると「熱湯(nướcは「水」sôiは「沸く」)」という意味になるからです。

これは飲食店で店員がスープなどの熱々の物を持っていて、客が邪魔で通れない時に「どいて!」という意味合いで使われるセリフです。

つまりnước sôiには「自分は熱湯(nước sôi)を持ってるからヤケドしたくなかったらそこをどいてね」という警告の意味が込められています。

もちろん実際に熱湯を持っていなくても、自分の存在をアピールするために普通に「どいて!」という意味で使うことができます。使用は飲食店だけに限りません。

ちなみにnước sôi!nước sôi!と2回ぐらい言うとより効果的です。

「どけ!」はtránh ra!

強い言い方の「どけ!」はtránh raと言います。

tránhは「避ける」という意味で、raは補助動詞的な役割を持ち、「V+ra」でVの動作が内側から外側に「開放、出現、放出」する様子を表します。

tránh raはかなり命令口調に近いので、普段使いではなく、例えばバイクを運転してて急に歩行者が飛び出してきたりした時など、非常用として使ったほうがいいでしょう。

「何も言わずに通り抜ける」という選択肢もあり

人の前を通り抜ける際に何かひと声かけるというのはかなり日本的です。

多くのベトナム人は人ごみであっても何も言わずにズケズケと通り抜けるでしょう。
ベトナム人は列に並ばず、割り込みするする人がただでさえ多いのに、たかが人前を通り抜けるのに声をかける人なんてほとんどいません。

だからここはベトナムの慣習にならって、「あえて何も言わなずに通り抜ける」という行動をとってもベトナムにおいては特に問題はありません。

まとめ

・目の前を通り抜けたいのに人が邪魔していて通れない時はなんて言う?

①すいません、ちょっと通ります=xin lỗi, cho tôi qua

②どいて!=nước sôi!

③どけ!=tránh ra!

④何も言わない